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5球団競合右腕ついに開花へ ソフトバンク田中正義に聞いた「マウンドでの笑顔」

暮らし

2021/07/07 19:00

 2年ぶりに1軍登板を果たしたソフトバンクの田中正義投手(26)がマウンドで見せる笑顔が話題になっている。6月25日の今季初昇格後、3試合に登板して計3イニングを無失点。低めの伸びが際立つ最速153キロのストレートはもちろん、打ち取った後にのぞかせる白い歯からは自信もうかがえる。これまでとは違う姿が印象的な剛腕をTNC「ももスポ」が直撃した。(聞き手=吉川貴司、取材・構成=大和拓未)

  ◇    ◇    ◇

 背番号25がかつてない輝きを放とうとしている。6月27日の楽天戦(楽天)で今季初登板。三者凡退の完璧な内容もさることながら、マウンドで笑っている姿にファンがざわついた。SNSには「楽しそう」「笑顔が素敵」などの書き込みが目立ち、多くの人が復活を待ち望んでいたことがうかがえる。本人はどんな心境でマウンドに上がっているのだろうか。

 「臆さずに思い切ってやろう、と。技術的にはあまり大きく変わったところはないので、メンタルの部分だと思います。持っているものをしっかりマウンドで出すんだと、そう思って投げているので、そういうのが今のところ、いい結果につながっている」

 楽しめているか?と問われると「まだまだ大事な場面で投げさせてもらう思いがあるので、これから」と貪欲な姿勢を隠さない。ドラフト1位で2017年に入団し、昨年までの4年間で11試合0勝1敗。大きな期待に反して結果を出せず、1軍への壁が「すごく高く見えた時もあった」という田中にとっての大きな転機は昨年の2軍最終戦で訪れた。自己最速タイの156キロをマークして三者凡退。今春キャンプの朝の声出しでは、当時のことを引き合いに次のように決意表明した。

 《今年は1軍で活躍できるという自信があります。その理由としては、昨年のファームの最終試合、これは内川(聖一)さんのホークスでの最後の試合でもあったのですが、そこでクローザーとしてマウンドに上がらせてもらい、人生で一番良いボールを投げることができました。その後、内川さんに「4年間ありがとうございました」と挨拶にいかせていただいた時に、内川さんから「おまえはおまえ以外のみんなが“おまえはできる”と思ってるのに、おまえだけがその可能性を閉ざしている」と言っていただきました。その言葉がうれしかったし、自信になりました》

 昨年11月1日、退団する内川にもらった言葉にハッとさせられて8カ月。いま、改めて田中に当時のことを聞くと、さらに強い言葉が返ってきた。

 「自分で自分の可能性を閉ざしているからもったいないんじゃないか、と。確かにそうだなと自分でも思えた。あれだけ第一線で長くやられている、そういう方に言ってもらえるのはありがたかったし、やらないといけないと思えた。キャンプの言葉は自分を鼓舞する意味もあったけど、少しづつ自分が変化していっているのも分かる」

 5球団競合のドラフト1位、即戦力。ルーキーイヤーーからのプレッシャーを「(他人と)比較できないので分からないけど、自分なりに思いながらやっていたところはある」と正直に打ち明ける。一方で「違う順位で入っていたら違う結果になったとも思わない」とも言う。過去ではなく、目の前の自分と向き合いながら完全開花を目指している。

 「勝ち試合で投げたい。そうやってこそ初めて戦力になれている実感が湧いてくる。去年の(2軍の)最後の試合でいいボールを投げることができて、もう一回やれるんじゃないかと思えた。相手を圧倒できるように腕を振っていきたい。1軍でチャンスもらえていることに感謝して、とにかくチームに貢献したい」

 田中正義。ファンに「ジャスティス」と呼ばれる男は、苦悩の4年を経てついに覚醒しようとしている。
 
 (TNC「ももスポ」7日オンエア・YouTube「ももスポチャンネル」より)

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