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韓国窃盗団に盗まれた仏像と13年ぶり対面…対馬「観音寺」の前住職 所有権めぐる裁判決着へて…日本への返還は“100日法要”後に

事件・事故

9時間前

国をまたいだ窃盗事件をめぐり、10年以上に及んだ問題がついに決着です。

2012年に長崎県対馬市の寺から盗まれ、韓国に持ち出された仏像の返還手続きが24日、行われました。
23日に福岡空港国際線ターミナルに姿を見せた1人の男性。

長崎県対馬市の「観音寺」の前住職、田中節孝さんです。

向かう先は韓国、「10年越しの思い」を抱えていました。

◆観音寺(対馬市) 田中節孝 前住職
「(盗まれて)今年で13年目。長い間待ったが、やっと明かりが見えてきた。お会いして帰る算段をしてきます」

1体の仏像の所有権が日本と韓国のどちらにあるのか、積年の問題がついに解決へ。

その仏像とは、長崎県の有形文化財に指定されている「観世音菩薩坐像」で、約13年前、対馬市の観音寺から韓国の窃盗団によって盗み出されました。

仏像は3か月後に韓国で見つかり、韓国政府が保管。

当然、盗まれた対馬の寺に返還されると見られていました。
ところが、韓国の寺「浮石寺(ぷそくじ)」が日本への返還に待ったをかけたのです。

対馬から盗まれた仏像は元をたどれば600年以上前に活動していた日本の海賊集団「倭寇」が略奪したものだとして、浮石寺が所有権を主張し裁判を起こしました。

川崎キャスターは8年前、この浮石寺の住職を現地で直撃し、「寺の主張に正当性はない」と追及しました。

◆川崎キャスター
「2012年の窃盗事件と数百年前の歴史的出来事を同列に比べるのは全く妥当性がないと思います。『法治国家の常識を疑う』そうなりますがいかがですか?」

◆浮石寺 ウォヌ住職
「5年前の韓国の窃盗団と600年前に盗んだ日本は同罪ですよ、図々しいのは日本の方です」

そして2017年、韓国の地方裁判所が言い渡した1審判決は「仏像は、略奪など正常ではない形で対馬に渡ったと見られる」として、仏像の所有権は日本ではなく「韓国の寺にある」というものでした。

以降、仏像問題が日韓の新たな火種としてくすぶり続ける中、2023年10月の韓国最高裁の判決では「日本の民法上、観音寺が法人格を得てから20年経った時点で仏像の所有権を取得したと認められる」として、最終的には「仏像の所有権は対馬の観音寺側にある」と結論付けました。
そして最高裁判決から1年2カ月が経った1月24日、韓国・テジョン市で日韓の寺の住職同士が対面し、仏像の返還手続きが行われました。

会場には仏像が入れられた大きな箱が運ばれました。
◆記者リポート
「会場の前方に仏像がまつられています。日本側と13年ぶりに対面することになります」

座禅を組み静かに穏やかな表情を浮かべる仏像。
この13年間について日韓双方の住職の思いは…。

◆浮石寺 ウォヌ住職
「『雨降って地固まる』という言葉のように、日韓関係の発展に希望を持っている」
◆観音寺 田中節孝 前住職
「今まであったものがなくなったわけですから、空虚感があった。みなさん早く帰ってくることを願っている。かなえられるのは待つ者にとってうれしいこと」

仏像は今後、韓国側で100日間におよぶ法要を終えたあと、5月ごろに日本側に引き渡される予定です。

■韓国政治の混乱が懸念材料に
(川崎キャスター)

実に13年ぶりに韓国側から返還となりましたが、戦後最悪と言われた日韓関係を象徴する問題の1つでもあったので、関係者は本当に安堵していました。

ただ、日本に戻る前に韓国で先に「100日間の法要」が行われることに関して、長崎の観音寺は当初、難色を示していたということで、全てが円滑に運んだわけではありません。

さらに、懸念材料は韓国政治の混乱です。

尹大統領が現職としては初めて逮捕され、大統領を辞めさせるかどうか弾劾裁判の審理も始まっています。

仏像を韓国で法要する100日間に尹大統領が罷免となれば、その大混乱の中でスムーズな返還に支障が出るおそれも否定できません。

最高裁の判断は出ていますので、今後は政治の状況に関係なく返還が進んでほしいと願っています。

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