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「伝えたいのは悲しみ」犠牲になった3児の母・大上かおりさん語る「19年たってようやく声を上げることができた」 飲酒運転撲滅に立ち上がった“原動力” 福岡

事件・事故

2時間前

福岡市の海の中道大橋で幼いきょうだい3人が亡くなった飲酒運転事故から25日で19年です。

悲しみを抱えながらも飲酒運転撲滅に向けて歩み始めた遺族の思いを取材しました。
◆記者リポート
「午前10時すぎです。事故があった現場に福岡市の職員が訪れました」

福岡市東区の海の中道大橋。

事故から19年がたった25日、現場には亡くなった3人の子供たちに祈りを捧げる人たちの姿が見られました。
同じころ、家族とともに外出の支度を急ぐ女性がいました。

海の中道大橋で3人の我が子を失った大上かおりさんです。

大上さんが向かったのは海の中道での事故をきっかけに始まった「飲酒運転撲滅県民大会」。

今回初めて大会に参加する大上さんには会場で伝えたい思いがありました。

19年前の8月25日、福岡市東区の海の中道大橋で当時、福岡市職員だった男が運転する車に追突され一家5人の乗る車が海へ転落し、幼い3人の命が奪われました。
追突した車を運転していたのは当時22歳の福岡市職員の男で、スナックなどで酒を飲み飲酒運転の状態でした。

目の前で我が子を失った大上さん。

事故後のショックで心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、福岡の地を離れ生活することを選びました。
一方、この事故で社会全体の飲酒運転に対する認識は一変し、事故の翌年には道路交通法が改正され、飲酒運転の罰則が強化されました。

また福岡県は事故が起きた日に合わせ、毎月25日を「飲酒運転撲滅の日」とするなど、飲酒運転撲滅に向けた取り組みが進められました。
事故から19年となる今年。

大上さんは悲しい記憶が残る福岡に戻りました。

飲酒運転撲滅を訴える活動を始めることが念頭にあったといいます。

◆大上かおりさん
「福岡に戻るときがきたら、そのときは自分がやり残していること、自分の残りの時間生きている間にやり遂げようと思っていたことをしたくて。子供の死を悼みそれを伝えていくこと。少しでも飲酒運転を減らせるように。メッセージを伝えたい」

福岡で新たな一歩を踏み出した大上さん。

悲しい記憶が消えることはありません。
◆川崎健太キャスター
「事故を振り返ることができれば…。事故が起きたことは認識できた?」

◆大上かおりさん
「バーンってぶつかったのは分かります。次の瞬間、一気に水だったから。最初もぐって紗彬ちゃんを見つけることができて、もう1回もぐったら倫くん見つけることができて、紘くん見つけられるかなと思ったけど、探せなかった。結局みんな助けることができなかった」

“同じような思いを誰にもさせないために“…事故の記憶を口にすると眠れない夜もあるといいますが、19年の時を経て話し始められたといいます。
そして迎えた25日。

大上さんは福岡県北九州市へ。

事故をきっかけに始まった「飲酒運転撲滅県民大会」で被害者遺族の1人として登壇することになったのです。

◆大上かおりさん
「飲酒運転撲滅を訴える。そこが求められている。マスコットキャラクターにはなりたくないが、でも求められている。自分が伝えたいのは悲しみ。(記者からは)『飲酒運転に対してどう思うか?』と先に質問されるのが多い感じがする。」

Q.「それでも今日も参加したいと思う原動力は?」

◆大上かおりさん
「立ち上がって声を出そう。訴えを発信しようというエネルギーがたまってきた時に、ちょうど飲酒運転が増えているというのも私はショック」
県内の高校生など約300人が参加した県民大会では、いまだ後を絶たない飲酒運転の現状が報告されました。
◆福岡県警 住友一仁本部長
「飲酒運転で検挙された運転者の数は未だに年間1000人を越えている。県民の願いである飲酒運転ゼロには程遠い状況です」
そして、大上さんが壇上で語りはじめます。

◆大上かおりさん
「今日は本当にここにきて『ありがとう』の気持ちと、この8月25日を撲滅大会としてくれた思いを大切にしながら、でもこの撲滅大会がいつか解散できる日が来ることを願って、微力ですが一緒に活動して取り組んでいきたいと思っています」

突如、我が子3人を奪われ悲しみと向き合い続けた19年間。

大上さんは他の遺族たちとともに飲酒運転撲滅に向けて歩み始めました。

◆大上かおりさん
「19年たってようやく声をあげることができて、私が届けるメッセーが心に届いて、飲酒運転を止めようと思う人が多く生まれてくれることを望んでいる。時が止まってしまったこの福岡で再び時を進めたい」

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