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「逆に面白くなってきた」めった打ちのデビュー戦...19歳の前田悠伍がマウンドで考えていたこと

ホークス

3時間前

 忘れられないデビュー戦になった。10月1日のオリックス戦。ソフトバンクのドラフト1位、前田悠伍が球団の高卒ルーキーとしては12年ぶりに先発した。舞台は本拠地みずほペイペイドーム。大観衆の声援を背にマウンドに上がった19歳は何かをつぶやいていた。

 「あれはひとり言というより、オリックスの応援歌を歌っていたような気がします」

 滋賀県出身で、小学生時代はオリックスのジュニアチームでもプレー。デビュー戦の相手との縁もあった左腕は周囲の音が聞こえるほど落ち着いていたという。

 ただ、結果は3回を被安打8の6失点。これほど打ち込まれた経験は「自分が覚えている限りはないです」という。心中はいかばかりかと思っていたが、返ってきた言葉は想像していないものだった。

 「初めての経験で、なんか逆に面白くなってきました。『これも打たれるのか』と。通用しなくて嫌というより、楽しかったというか、ワクワクする感じもあった」

 悔しくてたまらなかったはずだ。ただ、それと同時に高いレベルに自らの身を置いた現実が「負けず嫌い」に火をつけたのだろう。想定外であり、末恐ろしさすら感じる言葉だった。

 ときに19歳であることを忘れさせられる。定期的にミーティングを交わしてきた倉野1軍投手コーチ兼ヘッドコーディネーターも「話すときには高卒ルーキーとは思っていない」と評するほどだ。

 19歳になった8月4日。10代最後となる1年に向けて「今しかできない、いろんなことに挑戦したい。失敗してもはい上がる」と語った。2月のキャンプからスタートした球団肝いりの「特別育成プログラム」を7月に卒業。その後2軍で結果を残し、自らの手でつかみ取った1軍のマウンドだった。
 
 「忘れたくても忘れられない試合。これを忘れてしまったら終わり。あの日があったからと言えるように」。記憶に深く刻まれる1年目を経験したドラフト1位は、ここからはい上がっていく。(鎌田真一郎)

 * * * * *

 TNCテレビ西日本は、ソフトバンクのドラフト1位ルーキー、前田悠伍のデビューまでの日々を追ったドキュメンタリー「独占密着 THE FIRST ~ルーキー 前田悠伍の軌跡~」を10日深夜0時25分から放送します。

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