1. HOME
  2. 4630万円誤送金 「銀行への告知義務を怠った」 田口翔被告に有罪判決 弁護側は即日控訴

4630万円誤送金 「銀行への告知義務を怠った」 田口翔被告に有罪判決 弁護側は即日控訴

暮らし

2023/02/28 18:55

山口県阿武町が誤って振り込んだ、給付金4630万円を巡る事件で判決です。

ほぼ全額を別の口座に移して、不法な利益を得た罪に問われていた男に、懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡されました。

◆記者リポート
「田口被告が山口地裁に姿を見せました。後ろを歩いています」

足早に裁判所に向かうのは、電子計算機使用詐欺の罪に問われている田口翔被告(25)です。
◆記者リポート(2022年5月)
「午前8時25分です。田口容疑者を乗せた車が出てきました。これから検察に身柄が送られます」

のどかな田園風景がひろがる、人口3000人余りの阿武町。

ここで、住民1世帯あたり10万円の新型コロナ給付金4630万円が、誤って田口被告1人の口座に振り込まれるミスが起きたのは、2022年春のことでした。
◆阿武町 花田憲彦町長(2022年5月)
「当初は申し訳なかったけども、それとこれは話が違う。もう完全に、私は(男性を)犯罪者だと」

起訴状などによりますと、田口被告は2022年4月、阿武町が誤って振り込んだ4630万円について、銀行に虚偽の情報を与えて、ネットカジノの決済代行業者の口座にその金を振り替え、不法に利益を得たなどとされています。
これは、田口被告の銀行口座の記録。

給付金が入金される前の残高は、わずか665円でしたが、問題の4630万円が誤って振り込まれたことで、残高は激増。

そして、誤った送金から11日後、田口被告の銀行口座の残高は7万円足らずに激減しました。
◆記者リポート(2022年8月)
「田口被告が、山口南警察署から出てきました。いま、深くお辞儀をしました」

その後、阿武町は法的な手続きを経て、ネットカジノの決済代行業者などから全額を回収することに成功。

さらに、阿武町が弁護士費用などを求めた裁判で、田口被告は解決金約340万円を支払い、謝罪することで、町と和解が成立しました。
◆記者リポート(2022年10月)
「田口被告が裁判所に向かっています」

2022年10月から始まった、田口被告の刑事裁判。

法廷で田口被告が、「振り込み操作をしたのは間違いありません」と事実関係を認める一方で、弁護側は「被告が入力した口座番号やパスワードなどに、虚偽の情報はない」「法的な評価、罪の成立については争っていく」とし、無罪を主張しました。
そして2022年12月に開かれた論告求刑公判。

検察側は「誤って振り込まれた給付金を、自分の預金であるかのようにオンラインカジノに使い果たした、大胆で悪質な犯行」と指摘し、田口被告に懲役4年6カ月を求刑しました。
2月28日午後、山口地裁で開かれた判決公判で、小松本卓裁判官は、「給付金が誤って振り込まれた事実を、銀行に申告する告知義務を怠った」などと指摘。

「正当な預金であるとの嘘の情報を銀行に伝えて、不法な利益を得た」と認定して、田口被告側の無罪主張を退け、懲役3年・執行猶予5年の判決を言い渡しました。
量刑の理由について、小松本裁判官はー

◆小松本卓裁判官
「被告人は、オンラインカジノで遊ぶ地位を得るために、本件犯行に及んでいる。犯行に至る経緯にも、酌むべき点は一切ない。他方、被害額全額が補填された。被告人に前科がないことなどの情状を考慮すれば、被告人に対する刑には執行猶予をつけるのが相当である」

田口被告は、裁判官から目をそらすことなく判決を聞いていました。
判決後、被告の弁護人はー

◆田口被告の弁護人
「いち法律家としては、今回の判決は大変あってはならない判決と思っているので、しっかりと今後も、引き続き戦っていこうと思っている」

田口被告側は判決を不服として即日控訴しました。

あなたにおすすめ

  1. HOME
  2. 4630万円誤送金 「銀行への告知義務を怠った」 田口翔被告に有罪判決 弁護側は即日控訴