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【詳しく】「率直に…なぜお米だけ対策?」おこめ券めぐり福岡市の高島市長が国に苦言「コストに対して問題意識持って」

政治・行政

1時間前

政府が経済対策として自治体に推奨している「おこめ券」をめぐり、福岡市の高島宗一郎市長は9日の会見で、配布にコストがかかるとして「マイナンバーなどを活用した仕組みの構築に本気で取り組んでほしい」と国に苦言を呈しました。

福岡市はおこめ券を配布せずに、一般家庭の下水道使用料の2カ月分無料化に充てる方針を明らかにしています。

9日の定例会見での一問一答は以下の通りです。

Q1.政府の物価高騰対策を受けた地方交付金について、政府がおこめ券を推奨する中で下水道料金の無料化に充てる理由は?

A1.おこめ券は500円の券を発行するのに既にその時点で60円コストかかってるんですね。緊急対策で国民に対して還元しなきゃいけないのに、その前に発行する時点、自治体に届くまででまず60円すでにコストがかかり、さらにそれを自治体が配っていくとなると、世帯を全部調べて発送してともろもろ手数料がかかるんですね。国民から「手数料が中で抜かれてるんじゃないか」みたいに思われることは、政府も本意ではないはずなんですよね。国民のために配ろうというお金を、いかに途中の経費を少なくして直接市民に届けていくのかが一番大事だと思うんです。
そう考えると下水道料金は市民が利用しコストが最も少ない形で市民に還元できます。上水道じゃない理由は、井戸を使ってる人に恩恵が及ばないんですよね。下水道であればほとんど全てのご家庭が使っているので、コストが最も低くできるだけ全額を市民の皆さんにお配りできます。

私は行政改革会議という国の委員にもなって、今その国がチェックしているのは、国の中で完結するところまでの行革を考えてるんですけど、その後「地方によろしく」と言った後、地方がどれだけ手間とコストをかけて、それも全部国民の税金なわけですよね。ここのコストをもっともっと意識しないといけない。これはコロナ禍のときにすごく感じたんです。コロナ禍の時にいろんな給付金などがあったんですが、とてもコストがかかっていることに国はもっと意識するべきだと。だから行革会議の中でもそれをテーマにしようと言っているが1回も採用されないんで歯がゆい思いをしています。

今回の対策についてもより広い全ての国民に恩恵が行き渡るべきという考え方で、真ん中のコストができるだけかからずにお配りできるようなやり方を選択しました。(おこめ券は)500円中60円が国民に行く前になくなっているということについては、そのコストをしっかりと、これは国民の税金なんだということ、国民に配るためのお金なんだということは強く意識してほしいと思います。
Q2.「歯がゆい思い」をしている中で今回もおこめ券が推奨されている。国は本来こうあるべきだというところをもう少し聞かせてほしい。

A2. 政策の以前に前提が大きく変わっていることも踏まえるべきで、マイナンバーカードをこれだけ推奨していて、健康保険証も統合されてマイナ保険証になったわけでしょう。このデジタルをみんなが当たり前に使う社会になって、国民にそれぞれに振り込んでお金を直接給付できる仕組みを作り、中抜きがない形でどう直接国民にお金を必要な時に対策としてお配りすることができるかという仕組みを考えるとか。

やり方を決めて簡単に配れと言われても自治体はそう簡単に配れないから、どうしてもコストがすごくかかってしまうんですよね。「何をするか」というのは、その時その時でいろんな政策判断があるかもしれないが、お金を国民に配る時のやり方はマイナンバーカードを使って、給付金とかがあった時に入れるためだけの口座ということで登録してもらうという形で給付ができるとか、デジタルを使ってスムーズにコストかけずにきちんと支払われる仕組みの構築ということは本当に言ってきているんですが、真剣に取り組んでいただきたいと思います。
Q3.おこめ券について、国がその政策をやろうとしてることに関してどのように考えているか?

A3. 国民に500円配るのに1割以上の60円がすでに手数料がかってるというようなそのコストに対しては国として問題意識をぜひ持っていただきたいなと思います。その 60円は国民の税金であり、そして緊急に経済対策をするのはその国民に対してであって、できるだけ手数料のようなものが取られずに緊急支援であればより多くのお金が国民に行きわたるように考えるという発想が肝要かと思いますので、政策を考えていくときに自治体の負担とかそこにかかる手数料も国にはぜひよく考えていただきたいなと思います。

Q4.鈴木農水大臣の発言について率直にどのように考えるか?

A4.率直に、どうしておこめ券だけ“特出し”でこういう話になるのかなっていうのは思いましたよね。緊急経済対策って、もちろんお米が高くて困っているのはその通りですが、物価高はお米だけではなくたくさんのものがある中で、なぜお米だけにターゲットを絞って、特別にそこだけ券を発行して対策をするのかなと思いました。

本当はシンプルにお金を直接配って、家庭によって困っている部分にそれを家庭が選んで使っていくというのがベストなわけで、福岡市としても下水道料金を引くということは可処分所得がその分増える。より多くのお金を市民に返せるかなと考えて下水道にしたということなので、印象としては最初、そう思いました。
Q5. 全国的にもおこめ券を配らないという自治体が多いようだが、国がこのような政策を進めようとしていることをどう思うか?

A5.地方自治体のほうが何かをするという時に、そこにかかる手数料っていうことにはすごく敏感ですし、国民もすごくそれは見てますよ。その手数料が一体どこに流れていくのかとか、皆さんよく気づいてますよ。地方が何かを遂行していく上で、もしくは国の対策を実行していく上で、国として事務コストとかいろんな手数料ということも考えて、国民の税金を経済対策として国民に還元をするのであれば、できるだけ手数料がかからずに国民により多くのものがそのまま返していけるような、それこそマイナンバーなどを活用した仕組みの構築などに、ぜひ本気で取り組んでほしいなと思います。

TNCの取材では8日現在で、福岡県内でおこめ券を「配布する」と答えた自治体はゼロ、「配布しない」としたのが福岡市や北九州市など9自治体、「未定・検討中」が51自治体となっています。

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