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大学ナンバーワン左腕を救った「ばあちゃん」 最終学年で急成長、天国の祖母と待つ運命のドラフト

ホークス

3時間前

今年はどんなドラマが起きるだろうか。プロ野球のドラフト会議は23日に東京都内のホテルで開かれる。「運命の日」を待つ注目選手のひとりが、大学ナンバーワン左腕と評される明大・毛利海人投手(22=福岡県田川市出身)だ。

「高いレベルでやるうちに目標がどんどん高くなって、ドラフト1位で行きたいと思うようになりました」

今年の東京六大学で春、秋のリーグ戦を通じ無傷の9連勝。7月の日米大学選手権では最優秀投手賞に輝くなど、本人の想像を超える成長を遂げた。

野球以外は右利き。「球のキレで勝負できる投手になれるように」と父から左投げに矯正されたサウスポーは、緩急を生かした投球スタイルで、福岡大大濠高時代3年春の甲子園でエースとしてチームを8強に導いた。

しかし、明大入学後に自信は打ち砕かれた。

「もともと気持ちの強さが持ち味だったけど、六大学は良いバッターが多く、弱い部分が出て不安なままマウンドに上がっていた。3年の時は特に…」

昨秋のリーグ戦は6試合に登板し3勝1敗、防御率1・53。好結果を残しながらも、自分の中でこれだという手応えを得られなかった。「ドラフトも『かかればいいな』というぐらいの、弱い気持ちだった」と打ち明ける。

殻を破るきっかけは、今年2月。祖母トミ子さんが他界した。キャンプ中だったが、葬儀への参列を願い出た。「今年が勝負だから、もう一回頑張ってみようか。ばあちゃんのためにも」。そんな言葉で両親からも強く背中を押された。

「もう一回、限界まで追い込んでみようと。本当にどこにも遊びに行かず、ずっと敷地内でトレーニングしていました。気持ちの強さも戻りました」

今春のリーグ戦ではリーグトップタイの6勝(0敗)、トップの防御率1・34でベストナインを獲得。最速は151キロまでアップした。この秋もエースとして躍動しチームの5季ぶり優勝に貢献した。

「できる限りのことはやれたので、あとは運に任せます」

自信を失いかけた左腕はこの1年で大きな飛躍を遂げた。弱気な自分はもういない。天国の「ばあちゃん」に見守られながら運命の日を迎える。(鎌田真一郎)

◆毛利海大(もうり・かいと)2003年9月14日、福岡県田川市生まれ。小学2年で野球を始め、6年時に福岡ソフトバンクホークスジュニア選出。福岡大大濠高では3年時に春の甲子園で8強。左投げ左打ち。177センチ、77キロ。

(YouTube「ももスポチャンネル」で動画公開中)

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