2021/08/19 20:30
工藤会 最高幹部に判決へ(3)“最凶”を追い詰めろ! 警察VS工藤会 「頂上作戦」の舞台裏 福岡県
暮らし
2021/08/20 21:00
死刑を求刑されている工藤会トップの判決、8月24日まであと4日。
市民を容赦なく傷つける工藤会を、警察はいかにして追い詰めたのか、「頂上作戦」の舞台裏に迫ります。
1994年9月―
◆記者
「発砲があった現場です。ご覧ください、あそこの窓ガラスに4発の弾痕が見えます。中では慌ただしく現場検証を行っています。そしてこの場所なんですが、なんとすぐそこに福岡県の警察本部があります」
暴力団による警察への、いや、まさに市民社会への卑劣な挑戦。
長きにわたる工藤会と県警の闘い。
・2013年2月放送
◆工藤会幹事長(当時) 木村博受刑者
「県警の幹部ですか?『工藤会とは全面戦争』とかいうコメントも出ていましたけど、向こうも戦争のつもりならこっちも戦争のつもり。受けて立ちますよ」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「警察を本気にさせた。『福岡県警史上最大の特別捜査本部』と言って良いのではないかなと」
2014年9月11日―
◆記者
「警察が工藤会のトップ、野村総裁の自宅に警察が強制捜査に入ります」
工藤会の野村悟被告ら最高幹部を逮捕した、いわゆる「頂上作戦」。
当時、現場の最前線で指揮をとっていたのが、福岡県警の尾上芳信刑事部長です。
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「警察官の帰宅時間を待ち伏せして『お前らのことは、いつでも襲おうと思えば襲えるんやぞ』とパフォーマンス的なこともやつらはやっていたので、凶悪で陰湿な組織だと思っておりました」
1988年、暴力団捜査に携わった元警察官の自宅に火が放たれー
2002年8月―
◆記者
「被害にあった車は、こちらに駐車されていました。このうち2台のフロントガラスが割られ、もう一台のボンネットには爆発物のようなものが置かれていました」
2002年、警察官の宿舎に時限爆弾が仕掛けられた事件も工藤会による犯行と断定。
そして2012年、県警にとって悪夢が訪れました。
◆アナウンサー(当時)
「福岡県北九州市で今朝、元警察官の男性が銃撃されました。撃たれた男性は、退職前に暴力団捜査を担当していました」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「銃撃された元警部は、私が初めて刑事になったときから当直を共にするような同僚であったので、特に強い憤りを感じた次第です。警察庁の方も、これは何とか福岡県警を支援しなければならないということから、全国の機動隊、捜査員を北九州市に派遣していただくことになった」
全国から捜査員が派遣され、職務質問を強化。
しかし…
2012年10月 組事務所の家宅捜索―
◆組員
「名前なんか?」
◆警察
「なんで言わないかんのか」
◆組員
「言いきらんのか」
◆警察
「責任者がおるって言いよろうが」
◆組員
「名前もいいきらんのかい!」
◆警察
「やかましい!」
警察をあざ笑うかのような態度を繰り返す工藤会。
元組員の男性が、カメラの前で当時を振り返りました。
Q警察組織、怖くなかった?
◆元組員の男性
「怖くないですね。なめとったですね、やっぱり。特によそから応援に来ている県警の方達、好き勝手してくれてですね」
2012年、時を同じくして始まった、暴力団の入店を禁じる「標章制度」に反発してか、飲食店関係者が次々に襲撃されるも中々逮捕することができない警察に、市民からの信頼は失墜しました。
2012年―
◆飲食店関係者
「何のために標章したのかな、無駄な税金使って」
「警察も真剣にはやっているんでしょうけど、結果として出ないので市民としてがっかり」
Q(標章制度に)組織は怒っていた?
◆元組員
「怒っていましたね、カスリ(みかじめ料)が入ってこんですもんね。それを守るために『行け』っていう感じで。結局、女性の方も手当たり次第いかれた」
そんな中、転機を迎えたのは、翌年、2013年の冬でした。
Q野村総裁の逮捕を意識したのはいつ?
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「上野忠義さん、響灘漁港関連者ですけど、残念ながら銃撃されて死亡される事件が起こりました」
漁港関係者への襲撃は初めてではなく、1998年にも上野さんの兄・梶原國弘さんがピストルで撃たれて死亡し、実行犯グループはすでに逮捕されていました。
1998年―
◆記者
「事件の背景に、北九州市響灘の巨大港湾工事を巡る利権争いがあるのではないかとみて、梶原さんが以前組合長を務めていた脇之浦漁協の組合員から事情を聞いています」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「当時の警察を振り返って、公判記録を取り寄せて精査した次第です。実行犯グループには一切の利益はありません。それを受け取っているのは幹部連中だけであります。そういったことを考えると、幹部以外の意思に基づいてそういった事件が起こるはずがない。テロとも言えるような事件を止める為には、やはりトップを取らなければダメだと」
『事件の背景に、トップ野村の指示があった』
そう立証するためには、どうすればいいのか?
県警は通信傍受を始め、あらゆる捜査手法を尽くしました。
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「無罪になっている実行犯グループに再度取り調べを行って、真実を語ってもらうとかですね。不起訴事案であっても再度起訴することは法律上可能ですので、もう一度チャレンジする。人から奇想天外な作戦と言われようが、法律の範囲内であれば私は何でもやる」
そして迎えた作戦の日、2014年9月11日『頂上作戦』―
◆アナウンサー(当時)
「福岡県北九州市の特定危険指定暴力団工藤会の最高幹部が、1998年に起きた殺人事件に関与したとして殺人などの疑いで逮捕されました」
『漁協元組合長射殺事件』野村被告ら逮捕
『女性看護師刺傷事件』野村被告ら再逮捕
『歯科医師刺傷事件』野村被告ら再逮捕
そして、尾上刑事部長にとっても因縁の事件、元警部銃撃事件の立件にも成功しました。
野村被告の逮捕は合わせて6回。
一連の頂上作戦から7年の時がすぎてようやく迎える「審判の日」を前に、尾上刑事部長はー
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「凶悪凶暴な組織、誰もが認めていない壊滅させなければならない組織と、私は思っています。この判決から当面の間が、工藤会対策にとっての一番の山場を迎える大切な時期だと思います」
市民を容赦なく傷つける工藤会を、警察はいかにして追い詰めたのか、「頂上作戦」の舞台裏に迫ります。
1994年9月―
◆記者
「発砲があった現場です。ご覧ください、あそこの窓ガラスに4発の弾痕が見えます。中では慌ただしく現場検証を行っています。そしてこの場所なんですが、なんとすぐそこに福岡県の警察本部があります」
暴力団による警察への、いや、まさに市民社会への卑劣な挑戦。
長きにわたる工藤会と県警の闘い。
・2013年2月放送
◆工藤会幹事長(当時) 木村博受刑者
「県警の幹部ですか?『工藤会とは全面戦争』とかいうコメントも出ていましたけど、向こうも戦争のつもりならこっちも戦争のつもり。受けて立ちますよ」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「警察を本気にさせた。『福岡県警史上最大の特別捜査本部』と言って良いのではないかなと」
2014年9月11日―
◆記者
「警察が工藤会のトップ、野村総裁の自宅に警察が強制捜査に入ります」
工藤会の野村悟被告ら最高幹部を逮捕した、いわゆる「頂上作戦」。
当時、現場の最前線で指揮をとっていたのが、福岡県警の尾上芳信刑事部長です。
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「警察官の帰宅時間を待ち伏せして『お前らのことは、いつでも襲おうと思えば襲えるんやぞ』とパフォーマンス的なこともやつらはやっていたので、凶悪で陰湿な組織だと思っておりました」
1988年、暴力団捜査に携わった元警察官の自宅に火が放たれー
2002年8月―
◆記者
「被害にあった車は、こちらに駐車されていました。このうち2台のフロントガラスが割られ、もう一台のボンネットには爆発物のようなものが置かれていました」
2002年、警察官の宿舎に時限爆弾が仕掛けられた事件も工藤会による犯行と断定。
そして2012年、県警にとって悪夢が訪れました。
◆アナウンサー(当時)
「福岡県北九州市で今朝、元警察官の男性が銃撃されました。撃たれた男性は、退職前に暴力団捜査を担当していました」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「銃撃された元警部は、私が初めて刑事になったときから当直を共にするような同僚であったので、特に強い憤りを感じた次第です。警察庁の方も、これは何とか福岡県警を支援しなければならないということから、全国の機動隊、捜査員を北九州市に派遣していただくことになった」
全国から捜査員が派遣され、職務質問を強化。
しかし…
2012年10月 組事務所の家宅捜索―
◆組員
「名前なんか?」
◆警察
「なんで言わないかんのか」
◆組員
「言いきらんのか」
◆警察
「責任者がおるって言いよろうが」
◆組員
「名前もいいきらんのかい!」
◆警察
「やかましい!」
警察をあざ笑うかのような態度を繰り返す工藤会。
元組員の男性が、カメラの前で当時を振り返りました。
Q警察組織、怖くなかった?
◆元組員の男性
「怖くないですね。なめとったですね、やっぱり。特によそから応援に来ている県警の方達、好き勝手してくれてですね」
2012年、時を同じくして始まった、暴力団の入店を禁じる「標章制度」に反発してか、飲食店関係者が次々に襲撃されるも中々逮捕することができない警察に、市民からの信頼は失墜しました。
2012年―
◆飲食店関係者
「何のために標章したのかな、無駄な税金使って」
「警察も真剣にはやっているんでしょうけど、結果として出ないので市民としてがっかり」
Q(標章制度に)組織は怒っていた?
◆元組員
「怒っていましたね、カスリ(みかじめ料)が入ってこんですもんね。それを守るために『行け』っていう感じで。結局、女性の方も手当たり次第いかれた」
そんな中、転機を迎えたのは、翌年、2013年の冬でした。
Q野村総裁の逮捕を意識したのはいつ?
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「上野忠義さん、響灘漁港関連者ですけど、残念ながら銃撃されて死亡される事件が起こりました」
漁港関係者への襲撃は初めてではなく、1998年にも上野さんの兄・梶原國弘さんがピストルで撃たれて死亡し、実行犯グループはすでに逮捕されていました。
1998年―
◆記者
「事件の背景に、北九州市響灘の巨大港湾工事を巡る利権争いがあるのではないかとみて、梶原さんが以前組合長を務めていた脇之浦漁協の組合員から事情を聞いています」
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「当時の警察を振り返って、公判記録を取り寄せて精査した次第です。実行犯グループには一切の利益はありません。それを受け取っているのは幹部連中だけであります。そういったことを考えると、幹部以外の意思に基づいてそういった事件が起こるはずがない。テロとも言えるような事件を止める為には、やはりトップを取らなければダメだと」
『事件の背景に、トップ野村の指示があった』
そう立証するためには、どうすればいいのか?
県警は通信傍受を始め、あらゆる捜査手法を尽くしました。
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「無罪になっている実行犯グループに再度取り調べを行って、真実を語ってもらうとかですね。不起訴事案であっても再度起訴することは法律上可能ですので、もう一度チャレンジする。人から奇想天外な作戦と言われようが、法律の範囲内であれば私は何でもやる」
そして迎えた作戦の日、2014年9月11日『頂上作戦』―
◆アナウンサー(当時)
「福岡県北九州市の特定危険指定暴力団工藤会の最高幹部が、1998年に起きた殺人事件に関与したとして殺人などの疑いで逮捕されました」
『漁協元組合長射殺事件』野村被告ら逮捕
『女性看護師刺傷事件』野村被告ら再逮捕
『歯科医師刺傷事件』野村被告ら再逮捕
そして、尾上刑事部長にとっても因縁の事件、元警部銃撃事件の立件にも成功しました。
野村被告の逮捕は合わせて6回。
一連の頂上作戦から7年の時がすぎてようやく迎える「審判の日」を前に、尾上刑事部長はー
◆福岡県警 尾上芳信刑事部長
「凶悪凶暴な組織、誰もが認めていない壊滅させなければならない組織と、私は思っています。この判決から当面の間が、工藤会対策にとっての一番の山場を迎える大切な時期だと思います」
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