2022/08/29 16:33
退職後の備えが… 1.5億円の物件が6年で9000万円に 福岡の男性が提訴 スルガ銀行不正融資問題
暮らし
2022/08/31 20:55
◆福岡県内に住む男性(50代)
「退職後の生活が充実すればと始めた。不動産、アパートを経営するのは知人から紹介してもらった」
福岡県内に住む50代の男性、職業は公務員、2012年にアパート経営を始めました。
土地と建物を合わせて1億5000万円で購入したといいます。
しかしー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「購入して1カ月後に業者から『入居者が出て行った』と。査定額は1億円ない。当時(購入から)6年で『9000万円』と言われた。年間1000万円ずつ落ちたのかと」
1億5000万円の価値があったはずが、わずか6年で9000万円にー
一体何が起きたのか。
その背景に“地方銀行の雄”とも言われたある銀行の関与が疑われていました。
***************
福岡県内に住む公務員の男性。
老後の備えにと2012年に大阪にアパートを購入しました。
価格は土地と合わせて1億5000万円、4.5%の金利を含めるとローンの総額は2億6000万円あまりに上ります。
融資をしたのは静岡県に本店を置く「スルガ銀行」でした。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「販売は不動産業者が行うので、どこまで信用していいかというところがあった。『銀行がちゃんと査定した物件です』と再三にわたって言われたから、『もし管理・運用がうまくいかない場合があっても元本割れはない』と。これほどいい話はないなと」
しかし、購入からわずか1カ月で異変が起きました。
男性がアパートを購入した当時、空室は1室しかなく収入は安定していると聞かされていましたが、購入した翌月に突然10室が空室になったと聞かされました。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「『タイミングがあまりにも良すぎるのではないか』と(不動産会社に)クレームを入れた。『不動産にサブリース(家賃保証)というものがある。サブリースをしましょう』と」
入居者がいなくても一定の家賃を得られるサブリース契約を不動産会社と結び、なんとか収入は安定しました。
しかしー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「ちょうどスルガ銀行のかぼちゃの馬車が社会問題になったときくらいに、いきなり一方的に『サブリースを打ち切ります』と」
かぼちゃの馬車とは、東京の不動産会社「スマートデイズ」(現在は倒産)が運営していた女性用シェアハウス。
不動産会社はサブリース、いわゆる家賃保証をうたい、サラリーマンなどを中心にオーナーとして勧誘し、約1250人がスルガ銀行から合わせて2000億円あまりの融資を受けました。
しかし、運営はうまくいかず、ローンの返済ができなくなる人が相次いだ上、仲介業者が自己資金のない債務者の預金通帳の残高を改ざんするなど不正を行っていたことが発覚。
さらに、その不正の主導をスルガ銀行側が組織的に行っていたことが第三者委員会で認定され、一連の不正は「スルガスキーム」と呼ばれました。
金融庁から一部業務停止命令(6カ月間)を受けたスルガ銀行は、債務者に対して土地や建物と引き換えにローンを相殺しました。
スルガ銀行の不正融資が明るみになった直後にサブリース契約を打ち切られた男性。
立ちゆかなくなったローンの返済に途方にくれる中、アパートを査定してもらうとー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「査定額は1億円未満、(購入から)6年で『9000万円』と言われた。年間1000万円ずつ落ちたのかと。悩みましたね、家族を巻き込むと言うことを考えれば夜寝られない時期もあった」
男性がわらにもすがる思いで相談した弁護士は、そもそもスルガ銀行による男性への融資は不正だったのではないかと指摘が。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「スルガスキームの場合は、この物件について何が何でも1億5000万円の融資をするというのが先に決まっている。だから実際に物件価格が1億5000万円あろうがなかろうがあまり関係ない。融資をするために後付けで資料を整えていくのが大問題」
融資を受けるために資料の改ざんなどを行うスルガスキーム。
男性への融資でもそのスルガスキームが行われた疑いがあります。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「実際に彼の普通預金口座1ページ目の通帳は残高が64万4893円ですが、不動産会社から入手したスルガ銀行が持っている自己資本確認資料では564万4893円になっていて、5が付け加えられている。不動産会社から聞いたところ、フォトショップを使って偽装をしたと」
小田弁護士に対し、不動産会社の責任者はスルガ銀行の担当者から指示を受けて預金口座の改ざんを行ったことを告白したといいます。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「不動産会社から話を聞くと、これは間違いなくスルガ銀行のAさん(現在は退職)から指示があったと」
スルガ銀行によるマンションやアパートの1棟買いに伴う不正融資が疑われる事例は全国で相次いで確認されていて、被害者団体によると被害総額は5000億円以上にもおよぶとみられています。
福岡県内に住む男性はスルガ銀行側と調停を行いましたが、銀行側は不正な行為があったことは認めた上で「スルガ銀行が不正行為を主導したり関与したという事実は確認できておらず要求には応じられない」などとし、調停は不成立となりました。
そして8月29日、福岡地裁でー。
◆代理人弁護士の会見
「本日、スルガ銀行のアパート・マンション関する不正融資問題について、スルガ銀行株式会社に対し2億9000万円を超える損害の賠償を求める訴訟を提起いたしました」
男性はスルガ銀行に損害賠償を求めて提訴しました。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「私の金儲けについての後悔と反省はあるが、スルガの言い分を受けれ入れて従う気にはなれない」
(TNC報道ワイド「記者のチカラ」 2022年8月30日放送より)
「退職後の生活が充実すればと始めた。不動産、アパートを経営するのは知人から紹介してもらった」
福岡県内に住む50代の男性、職業は公務員、2012年にアパート経営を始めました。
土地と建物を合わせて1億5000万円で購入したといいます。
しかしー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「購入して1カ月後に業者から『入居者が出て行った』と。査定額は1億円ない。当時(購入から)6年で『9000万円』と言われた。年間1000万円ずつ落ちたのかと」
1億5000万円の価値があったはずが、わずか6年で9000万円にー
一体何が起きたのか。
その背景に“地方銀行の雄”とも言われたある銀行の関与が疑われていました。
***************
福岡県内に住む公務員の男性。
老後の備えにと2012年に大阪にアパートを購入しました。
価格は土地と合わせて1億5000万円、4.5%の金利を含めるとローンの総額は2億6000万円あまりに上ります。
融資をしたのは静岡県に本店を置く「スルガ銀行」でした。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「販売は不動産業者が行うので、どこまで信用していいかというところがあった。『銀行がちゃんと査定した物件です』と再三にわたって言われたから、『もし管理・運用がうまくいかない場合があっても元本割れはない』と。これほどいい話はないなと」
しかし、購入からわずか1カ月で異変が起きました。
男性がアパートを購入した当時、空室は1室しかなく収入は安定していると聞かされていましたが、購入した翌月に突然10室が空室になったと聞かされました。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「『タイミングがあまりにも良すぎるのではないか』と(不動産会社に)クレームを入れた。『不動産にサブリース(家賃保証)というものがある。サブリースをしましょう』と」
入居者がいなくても一定の家賃を得られるサブリース契約を不動産会社と結び、なんとか収入は安定しました。
しかしー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「ちょうどスルガ銀行のかぼちゃの馬車が社会問題になったときくらいに、いきなり一方的に『サブリースを打ち切ります』と」
かぼちゃの馬車とは、東京の不動産会社「スマートデイズ」(現在は倒産)が運営していた女性用シェアハウス。
不動産会社はサブリース、いわゆる家賃保証をうたい、サラリーマンなどを中心にオーナーとして勧誘し、約1250人がスルガ銀行から合わせて2000億円あまりの融資を受けました。
しかし、運営はうまくいかず、ローンの返済ができなくなる人が相次いだ上、仲介業者が自己資金のない債務者の預金通帳の残高を改ざんするなど不正を行っていたことが発覚。
さらに、その不正の主導をスルガ銀行側が組織的に行っていたことが第三者委員会で認定され、一連の不正は「スルガスキーム」と呼ばれました。
金融庁から一部業務停止命令(6カ月間)を受けたスルガ銀行は、債務者に対して土地や建物と引き換えにローンを相殺しました。
スルガ銀行の不正融資が明るみになった直後にサブリース契約を打ち切られた男性。
立ちゆかなくなったローンの返済に途方にくれる中、アパートを査定してもらうとー
◆福岡県内に住む男性(50代)
「査定額は1億円未満、(購入から)6年で『9000万円』と言われた。年間1000万円ずつ落ちたのかと。悩みましたね、家族を巻き込むと言うことを考えれば夜寝られない時期もあった」
男性がわらにもすがる思いで相談した弁護士は、そもそもスルガ銀行による男性への融資は不正だったのではないかと指摘が。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「スルガスキームの場合は、この物件について何が何でも1億5000万円の融資をするというのが先に決まっている。だから実際に物件価格が1億5000万円あろうがなかろうがあまり関係ない。融資をするために後付けで資料を整えていくのが大問題」
融資を受けるために資料の改ざんなどを行うスルガスキーム。
男性への融資でもそのスルガスキームが行われた疑いがあります。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「実際に彼の普通預金口座1ページ目の通帳は残高が64万4893円ですが、不動産会社から入手したスルガ銀行が持っている自己資本確認資料では564万4893円になっていて、5が付け加えられている。不動産会社から聞いたところ、フォトショップを使って偽装をしたと」
小田弁護士に対し、不動産会社の責任者はスルガ銀行の担当者から指示を受けて預金口座の改ざんを行ったことを告白したといいます。
◆すみれ綜合法律事務所 小田恵美子弁護士
「不動産会社から話を聞くと、これは間違いなくスルガ銀行のAさん(現在は退職)から指示があったと」
スルガ銀行によるマンションやアパートの1棟買いに伴う不正融資が疑われる事例は全国で相次いで確認されていて、被害者団体によると被害総額は5000億円以上にもおよぶとみられています。
福岡県内に住む男性はスルガ銀行側と調停を行いましたが、銀行側は不正な行為があったことは認めた上で「スルガ銀行が不正行為を主導したり関与したという事実は確認できておらず要求には応じられない」などとし、調停は不成立となりました。
そして8月29日、福岡地裁でー。
◆代理人弁護士の会見
「本日、スルガ銀行のアパート・マンション関する不正融資問題について、スルガ銀行株式会社に対し2億9000万円を超える損害の賠償を求める訴訟を提起いたしました」
男性はスルガ銀行に損害賠償を求めて提訴しました。
◆福岡県内に住む男性(50代)
「私の金儲けについての後悔と反省はあるが、スルガの言い分を受けれ入れて従う気にはなれない」
(TNC報道ワイド「記者のチカラ」 2022年8月30日放送より)
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