2022/09/02 20:55
少年刑務所のいま(2)薬物、強盗…“2人に1人”再犯者を生まないために 密着取材
暮らし
2022/09/02 20:55
2020年に福岡市の商業施設で女性(当時21)を殺害した少年(当時15)に対し、福岡地裁は2022年7月25日、「更生は困難」として「懲役刑の刑罰」を与える懲役10年以上15年以下の判決を言い渡しました。
少年側・検察側とも控訴せず刑が確定したため、少年が入ることになるのが「少年刑務所」です。
保護処分を行う少年院は社会復帰に向けた「教育」を主に行う施設であるのに対して、「少年刑務所」は「刑罰を第一の目的」としている施設です。
この少年刑務所は九州では佐賀市に1カ所しかありません。
TNCでは「刑罰」と「更生」の狭間でもがきつづける「少年刑務所のいま」を取材しました。
****************************
<以下、少年刑務所のいま(1)の続き>
佐賀少年刑務所は再犯の可能性が高い薬物依存や性犯罪の受刑者に対する改善指導を行います。
その指導について特別に撮影許可がおりました。
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「外に行くと『あの場所もあるよね』『あの人に会っちゃったよね』という刺激にさらされちゃう。その時に心がぐらつく?」
◆薬物常習 受刑者
「俺、思うんですけど、たぶん2~3日経ったら、絶対欲求不満になるんですよ。何にしてもたぶん。セックスしようが、うまい飯食おうが。欲求不満を回避すことは無理ですね」
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「常にもっともっとって感じ?」
◆薬物常習 受刑者
「絶対求めちゃうけん…」
互いにあだ名を決め、フランクに話し合う受刑者と教育専門官。
どんな気持ちの時に薬物を使いたくなるのか?
当時の状況をさらけ出すことで、使いたくなる場面や状況を理解し、出所後の再犯を防ぐのが狙いです。
指導には、かつて薬物依存に苦しんだ人も参加します。
◆民間の依存症回復施設メンバー
「売人やってて、高速のサービスエリアで毎回使ってたから、旅行に行った時にサービスエリアに行ったら『うわ、ここで使った!』って言いながら多弁になってる自分がいる。テンションあがってるなと思うと『やっぱ欲求入ってんだ』って初めて気づいたり」
◆薬物常習 受刑者
「サービスエリアはめっちゃ共感できますね。福岡県のサービスエリアはほとんど制覇しとる気がするっす」
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「どういう時に使ってたよね、というのは知っとかんと、ここ行っちゃうとまずいよね、という場所は絶対あるから。そこは避けんと」
佐賀少年刑務所内の一角に、再犯者を生まないための「最後の砦」とも言うべき部屋があります。
◆刑務官挨拶
「報告します。復帰寮 総員5名、欠員なし、現在5名」
復帰寮は、仮釈放を迎える受刑者たちを集め2週間共同生活させる部屋です。
刑務作業はなし。
部屋の中では比較的自由な行動が許され、出所後に必要な知識や心構えを学びます。
◆講義のようす
「気をつけ!礼!なおれ!よろしくお願いします」
◆佐賀少年刑務所 上席統括矯正処遇官 細井信二さん
「社会生活において不安だなと考えている人、手を挙げて」
(全員が手を挙げる)
◆細井信二さん
「何が不安?」
◆受刑者A
「今まで刑務所で生活してきたことが本当に通用するのかという不安が」
◆懲役3年3ヵ月 受刑者B(25)
「当時仕事もしてなくて、ホームレス状態で先輩の家に居候してたんですけど、お金をどうにか工面しないといけないということで、強盗がてっ取りばやいんじゃないかと思って」
仕事が続かず、強盗やひったくりに手を染めた、かつての自分の姿が頭をよぎると言います。
◆細井信二さん
「社会復帰後の不安だとか、将来の不安を持ってる人は、まだまだ改善更生の意欲があると感じます。私達は自分達の心の違いで良くも悪くもなるということ。せっかく生まれもった、たった一度きりの人生を大切にして過ごしてください。二度と刑務所に入ってきてはダメ」
<出所後の目標はー>
◆懲役3年3ヵ月 受刑者B(25)
「自立準備ホームに帰るんですけど、『そういう施設を自分も持ちたい』と思っていて、それを建てるためにも、引き受け先で、施設のこと・NPOのことなどを学んで行けたらなと思っています」
<仮釈放 当日>
◆刑務官
「忘れ物ないか?」
「ゴミ捨てろ!」
「眠れたか?」
◆受刑者
「眠れなかったです」
いよいよ仮釈放の日を迎えました。
<最後の身体検査>
検査を終え、久しぶりに私服に袖を通す受刑者たち。
◆刑務官
「番号、氏名 間違いないな。君の作業報奨金が入ってるから。自分で、この合計金額があるか、確認しなさい。間違いないですか?」
<仮釈放式>
出所前、最後の式。
◆佐賀少年刑務所長 訓示
「刑務所っていう所は刑罰を執行するところだから、楽しいことなんてあるわけないから。みんな出るときは『二度と戻ってこない』と思っているはずなのに、数年以内に半分近い人が戻ってきている。これから出たら厳しい現実が待っているけれども、まずよく損得を考えて欲しい。得な道を選ぶ。犯罪は損な道だから。得な方を選び続けたら、きっと大事なものができてくる。大事なものを築いて、その上で今回起こした事件を非常に反省して欲しい」
この日仮釈放されたのは5人。
再びこの門をくぐることがないようにー。
それぞれが社会と向き合うことになります。
少年側・検察側とも控訴せず刑が確定したため、少年が入ることになるのが「少年刑務所」です。
保護処分を行う少年院は社会復帰に向けた「教育」を主に行う施設であるのに対して、「少年刑務所」は「刑罰を第一の目的」としている施設です。
この少年刑務所は九州では佐賀市に1カ所しかありません。
TNCでは「刑罰」と「更生」の狭間でもがきつづける「少年刑務所のいま」を取材しました。
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<以下、少年刑務所のいま(1)の続き>
佐賀少年刑務所は再犯の可能性が高い薬物依存や性犯罪の受刑者に対する改善指導を行います。
その指導について特別に撮影許可がおりました。
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「外に行くと『あの場所もあるよね』『あの人に会っちゃったよね』という刺激にさらされちゃう。その時に心がぐらつく?」
◆薬物常習 受刑者
「俺、思うんですけど、たぶん2~3日経ったら、絶対欲求不満になるんですよ。何にしてもたぶん。セックスしようが、うまい飯食おうが。欲求不満を回避すことは無理ですね」
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「常にもっともっとって感じ?」
◆薬物常習 受刑者
「絶対求めちゃうけん…」
互いにあだ名を決め、フランクに話し合う受刑者と教育専門官。
どんな気持ちの時に薬物を使いたくなるのか?
当時の状況をさらけ出すことで、使いたくなる場面や状況を理解し、出所後の再犯を防ぐのが狙いです。
指導には、かつて薬物依存に苦しんだ人も参加します。
◆民間の依存症回復施設メンバー
「売人やってて、高速のサービスエリアで毎回使ってたから、旅行に行った時にサービスエリアに行ったら『うわ、ここで使った!』って言いながら多弁になってる自分がいる。テンションあがってるなと思うと『やっぱ欲求入ってんだ』って初めて気づいたり」
◆薬物常習 受刑者
「サービスエリアはめっちゃ共感できますね。福岡県のサービスエリアはほとんど制覇しとる気がするっす」
◆佐賀少年刑務所 教育専門官
「どういう時に使ってたよね、というのは知っとかんと、ここ行っちゃうとまずいよね、という場所は絶対あるから。そこは避けんと」
佐賀少年刑務所内の一角に、再犯者を生まないための「最後の砦」とも言うべき部屋があります。
◆刑務官挨拶
「報告します。復帰寮 総員5名、欠員なし、現在5名」
復帰寮は、仮釈放を迎える受刑者たちを集め2週間共同生活させる部屋です。
刑務作業はなし。
部屋の中では比較的自由な行動が許され、出所後に必要な知識や心構えを学びます。
◆講義のようす
「気をつけ!礼!なおれ!よろしくお願いします」
◆佐賀少年刑務所 上席統括矯正処遇官 細井信二さん
「社会生活において不安だなと考えている人、手を挙げて」
(全員が手を挙げる)
◆細井信二さん
「何が不安?」
◆受刑者A
「今まで刑務所で生活してきたことが本当に通用するのかという不安が」
◆懲役3年3ヵ月 受刑者B(25)
「当時仕事もしてなくて、ホームレス状態で先輩の家に居候してたんですけど、お金をどうにか工面しないといけないということで、強盗がてっ取りばやいんじゃないかと思って」
仕事が続かず、強盗やひったくりに手を染めた、かつての自分の姿が頭をよぎると言います。
◆細井信二さん
「社会復帰後の不安だとか、将来の不安を持ってる人は、まだまだ改善更生の意欲があると感じます。私達は自分達の心の違いで良くも悪くもなるということ。せっかく生まれもった、たった一度きりの人生を大切にして過ごしてください。二度と刑務所に入ってきてはダメ」
<出所後の目標はー>
◆懲役3年3ヵ月 受刑者B(25)
「自立準備ホームに帰るんですけど、『そういう施設を自分も持ちたい』と思っていて、それを建てるためにも、引き受け先で、施設のこと・NPOのことなどを学んで行けたらなと思っています」
<仮釈放 当日>
◆刑務官
「忘れ物ないか?」
「ゴミ捨てろ!」
「眠れたか?」
◆受刑者
「眠れなかったです」
いよいよ仮釈放の日を迎えました。
<最後の身体検査>
検査を終え、久しぶりに私服に袖を通す受刑者たち。
◆刑務官
「番号、氏名 間違いないな。君の作業報奨金が入ってるから。自分で、この合計金額があるか、確認しなさい。間違いないですか?」
<仮釈放式>
出所前、最後の式。
◆佐賀少年刑務所長 訓示
「刑務所っていう所は刑罰を執行するところだから、楽しいことなんてあるわけないから。みんな出るときは『二度と戻ってこない』と思っているはずなのに、数年以内に半分近い人が戻ってきている。これから出たら厳しい現実が待っているけれども、まずよく損得を考えて欲しい。得な道を選ぶ。犯罪は損な道だから。得な方を選び続けたら、きっと大事なものができてくる。大事なものを築いて、その上で今回起こした事件を非常に反省して欲しい」
この日仮釈放されたのは5人。
再びこの門をくぐることがないようにー。
それぞれが社会と向き合うことになります。
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