2023/01/10 18:27
「牛乳」が大ピンチ グラタンにも値上げの波 エサ代高騰で酪農家「廃業進んでいく」 【福岡発】
暮らし
2023/01/11 20:55

いま、私たちの食卓に欠かせない牛乳が大ピンチです。
悲鳴を上げる生産現場の実情を取材しました。
寒い冬でも心まで温まるクリームシチューに、熱々の鉄板でふっくらと焼き上げるパンケーキ。
これらのメニューで「味の決め手」として欠かせないのが「牛乳」です。
福岡県久留米市にある牧場では、11日朝も手作業で牛の乳しぼりが行われていました。
◆川崎キャスター
「牛たちへの愛情とか思いもありますよね?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「この人達のおかげで私たちも生活できているので」
学校給食などで当たり前のように登場し、子供のころから身近な「牛乳」。
しかし―
“牛乳離れ”が叫ばれ、消費の落ち込みが進行。
さらにいま、それに追い打ちをかける深刻な問題が―
オーブンの中でグツグツと焼かれるホワイトソース。
完成したのは、大きなハンバーグが上に乗った「グラタン」。
寒いこの季節にピッタリのひと皿です。
このあつあつグラタンを提供しているのは、西鉄久留米駅近くに2021年にオープンした「ノンノカフェ」です。
◆赤木アナウンサー
「とってもおいしそうな熱々グラタンがやってきました。これ、実は中に秘密があるそうなんです。いきますよ。うわぁー!スパゲッティが入っているんです。チーズもたっぷり伸びておいしそう。いただきます。すごく濃厚でクリーミーでおいしい!まろやかなホワイトソースが合っていて、全体のバランス抜群です」
完売する日もあるという人気メニューですが、こちらのグラタンにも「物価高騰の波」が押し寄せています。
中でも一番、影響を受けているというのが。
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「グラタンに牛乳を結構使うので、最近結構値上がりしたのが痛いなと」
一番の痛手となっていたのが、グラタンの命ともいえる「牛乳」の値上げです。
こちらのお店では1リットルの牛乳を1日に10本ほど使うといいます。
◆赤木アナウンサー
「どのくらい値上がり?」
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「30円くらいですかね、1本当たり」
2カ月ほど前は1本180円でしたが、現在は210円に値上がりしていました。
しかし、人気の「スパゲティグラタン」の価格は55円の値上げにとどめるなど、客に配慮した努力を続けています。
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「去年6月頃に材料の値上げがすごかったので(メニューを)1回値上げをさせてもらったんですけど、高校生とかも来るので、あんまり値上げしたくないので、じっと我慢です」
私たちの食卓に欠かせない「牛乳」に、いま何が起きているのか―
◆川崎キャスター
「久留米市にやってきました。酪農家の朝は早いです。牛さん、ずらっと並んでます。朝7時なんですけど、すでに搾乳、乳搾りが始まっているそう」
約60年続くこちらの農場。
全体で300頭ほどの乳牛を飼育している、県内でも有数の規模の農場です。
酪農一家で育った永田さんは、これまでにない「危機感」を感じていました。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「私も40年やっているが、経験したことない激震に見舞われていると思う」
◆川崎キャスター
「今どういうことが課題?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「海外に依存している輸入牧草や穀物が、コロナ前から少しずつ需給が世界的にひっ迫している状況。依存度を下げる工夫が必要」
◆川崎キャスター
「どこを輸入に依存している?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「一番は配合飼料。北米のトウモロコシ、南米の小麦、そこに昔はウクライナの小麦も入っていた。(輸入は)その辺が全面ストップになっている」
◆川崎キャスター
「いくらぐらいコスト上がっている?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「(年間)5000万円アップ。エサ代だけで」
農場の経営を圧迫しているのは、ウクライナ戦争や円安を背景にした「世界的な飼料危機」と、それに伴う「コストの高騰」です。
1年間にかかるエサ代は5000万円増えて1億5000万円に上昇。
それに加えて、電気代や燃料費の高騰も追い打ちをかけています。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「高くなったからといって、エサを与えないわけにはいかない。自分たちのご飯を削ってでも牛に食べさせないと」
「自分たちの身を削る」。
牛乳生産者の苦悩は、すでに限界を超えているといいます。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「この半年で日本の酪農家戸数は400ぐらいが見切りをつけられていて、廃業が進んでいくのかなと。赤字じゃやっている意味はない」
急速に進んでいる「酪農家の廃業」。
ピーク時には41万戸以上あった日本の酪農家は、現在はわずか1万3000戸ほど。
60年前と比べ、30分の1にまで減少しています。
酪農経営が高騰するコストに見合わなくなってきたことから、廃業を選択する生産者が増え続けているといいます。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「ここ1年ぐらいは中堅・若手が早めに見切りをつけて、他の道を選択する」
◆川崎キャスター
「牛乳が国内で足りなくなる恐れも?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「そうですね。この波が収まった時に、周りを見た時に誰が残っているんだという状況になると思う」
悲鳴を上げる生産現場の実情を取材しました。
寒い冬でも心まで温まるクリームシチューに、熱々の鉄板でふっくらと焼き上げるパンケーキ。
これらのメニューで「味の決め手」として欠かせないのが「牛乳」です。
福岡県久留米市にある牧場では、11日朝も手作業で牛の乳しぼりが行われていました。
◆川崎キャスター
「牛たちへの愛情とか思いもありますよね?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「この人達のおかげで私たちも生活できているので」
学校給食などで当たり前のように登場し、子供のころから身近な「牛乳」。
しかし―
“牛乳離れ”が叫ばれ、消費の落ち込みが進行。
さらにいま、それに追い打ちをかける深刻な問題が―
オーブンの中でグツグツと焼かれるホワイトソース。
完成したのは、大きなハンバーグが上に乗った「グラタン」。
寒いこの季節にピッタリのひと皿です。
このあつあつグラタンを提供しているのは、西鉄久留米駅近くに2021年にオープンした「ノンノカフェ」です。
◆赤木アナウンサー
「とってもおいしそうな熱々グラタンがやってきました。これ、実は中に秘密があるそうなんです。いきますよ。うわぁー!スパゲッティが入っているんです。チーズもたっぷり伸びておいしそう。いただきます。すごく濃厚でクリーミーでおいしい!まろやかなホワイトソースが合っていて、全体のバランス抜群です」
完売する日もあるという人気メニューですが、こちらのグラタンにも「物価高騰の波」が押し寄せています。
中でも一番、影響を受けているというのが。
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「グラタンに牛乳を結構使うので、最近結構値上がりしたのが痛いなと」
一番の痛手となっていたのが、グラタンの命ともいえる「牛乳」の値上げです。
こちらのお店では1リットルの牛乳を1日に10本ほど使うといいます。
◆赤木アナウンサー
「どのくらい値上がり?」
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「30円くらいですかね、1本当たり」
2カ月ほど前は1本180円でしたが、現在は210円に値上がりしていました。
しかし、人気の「スパゲティグラタン」の価格は55円の値上げにとどめるなど、客に配慮した努力を続けています。
◆「ノンノカフェ」氷室紀夫さん
「去年6月頃に材料の値上げがすごかったので(メニューを)1回値上げをさせてもらったんですけど、高校生とかも来るので、あんまり値上げしたくないので、じっと我慢です」
私たちの食卓に欠かせない「牛乳」に、いま何が起きているのか―
◆川崎キャスター
「久留米市にやってきました。酪農家の朝は早いです。牛さん、ずらっと並んでます。朝7時なんですけど、すでに搾乳、乳搾りが始まっているそう」
約60年続くこちらの農場。
全体で300頭ほどの乳牛を飼育している、県内でも有数の規模の農場です。
酪農一家で育った永田さんは、これまでにない「危機感」を感じていました。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「私も40年やっているが、経験したことない激震に見舞われていると思う」
◆川崎キャスター
「今どういうことが課題?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「海外に依存している輸入牧草や穀物が、コロナ前から少しずつ需給が世界的にひっ迫している状況。依存度を下げる工夫が必要」
◆川崎キャスター
「どこを輸入に依存している?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「一番は配合飼料。北米のトウモロコシ、南米の小麦、そこに昔はウクライナの小麦も入っていた。(輸入は)その辺が全面ストップになっている」
◆川崎キャスター
「いくらぐらいコスト上がっている?」
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「(年間)5000万円アップ。エサ代だけで」
農場の経営を圧迫しているのは、ウクライナ戦争や円安を背景にした「世界的な飼料危機」と、それに伴う「コストの高騰」です。
1年間にかかるエサ代は5000万円増えて1億5000万円に上昇。
それに加えて、電気代や燃料費の高騰も追い打ちをかけています。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「高くなったからといって、エサを与えないわけにはいかない。自分たちのご飯を削ってでも牛に食べさせないと」
「自分たちの身を削る」。
牛乳生産者の苦悩は、すでに限界を超えているといいます。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「この半年で日本の酪農家戸数は400ぐらいが見切りをつけられていて、廃業が進んでいくのかなと。赤字じゃやっている意味はない」
急速に進んでいる「酪農家の廃業」。
ピーク時には41万戸以上あった日本の酪農家は、現在はわずか1万3000戸ほど。
60年前と比べ、30分の1にまで減少しています。
酪農経営が高騰するコストに見合わなくなってきたことから、廃業を選択する生産者が増え続けているといいます。
◆永田ブルースカイファーム 永田弘さん
「ここ1年ぐらいは中堅・若手が早めに見切りをつけて、他の道を選択する」
◆川崎キャスター
「牛乳が国内で足りなくなる恐れも?」
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「そうですね。この波が収まった時に、周りを見た時に誰が残っているんだという状況になると思う」
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