今年も“売り手市場”　2026年卒の“就活”解禁　相次ぐ初任給引き上げ　学生にプレゼントも…各企業がアピール合戦　福岡

来年卒業する大学生向けの採用活動が1日、解禁されました。

福岡市ではさっそく大規模な就活イベントが開かれ、各企業があの手この手でアピール合戦を繰り広げました。



◆採用担当者
「この3名は皆さんの就職活動の応援団的な存在なので…」

◆採用担当者
「実は4割以上が1000万円を達成している。平均年収も1409万円」

本格的な採用活動が解禁となった1日から福岡市の「みずほペイペイドーム」で2日間開催された「マイナビ就職EXPO」には大手から地元の中小企業まであわせて約400社が参加しました。



◆記者リポート
「こちら、みずほフィナンシャルグループのブースです。開始早々、多くの立ち見客が出るほどの人気ぶりです」



◆記者リポート
「こちら九州電力のブースも満席です。学生たちが熱心にメモを取っています」

企業の採用意欲が高まる一方で学生の数が減っているため、今年も去年に続き、学生たちに有利な「売り手市場」となっています。



◆就活生
「自分が頑張った分だけ、対価がもらえる会社がいい」

◆就活生
「(周囲も)給料をやはり大事にしている」

Ｑ.初任給の希望は？
◆就活生
「初任給は…20後半ぐらい」

◆マイナビ福岡支社　田中正典支社長
「コロナ以降、大手傾向がある。ここ最近、物価高などのニュースもあって、(就活生が)給与といった待遇面を求める傾向が強くなってきた」



こうした流れを受けて大手企業を中心に相次いでいるのが、初任給の引き上げ。

大手損害保険会社の東京海上日動は今回の学生が入社する2026年のタイミングで大台を突破します。

◆東京海上日動　採用担当者
「もともとの初任給プラスで、転居・転勤のサポート手当を加えて、41万円前後が最高水準になる」

転居を伴う転勤があれば初任給約28万円に最大で13万円の手当を上乗せする新制度を導入し、40万円超えが実現するのです。



大手地銀の福岡銀行も今年4月入社からメガバンク並に初任給を引き上げます。

◆福岡銀行　採用担当者
「初任給は26万円に上がる。元々から4万5000円上がっている」



さらに、驚いたのが…。

Ｑ.後ろの商品は？
◆福岡銀行　採用担当者
「ブースに来てくれた学生にノベルティとして渡している。ブースに来る動機になってくれれば」

ひとつ3000円ほどの人気ブランドのヘアブラシなどを全員にプレゼントする大盤振る舞いです。



対する地場の中小企業は、完全週休2日制によるワークライフバランスはもちろん、キャリアアップにつながる資格手当や研修制度をアピールし大手との差別化に必死です。

◆ハウジングプラザ(北九州市)　採用担当者
「なかなか見向きもしてくれない学生が多かったりもするので、給与面以外の部分、仕事のやりがいとか、関われる規模感とか、そこは中小ならでは」



買い取り専門店を運営する大野城市のベンチャー企業が学生たちへの誘い文句として呼びかけていたのが…。

◆マーキュリー採用担当者
「こんにちは。話を聞くだけでダイヤモンドが当たります」

なんとダイヤモンド。

企業説明を聞いた女子学生がくじを引きます。



果たして…。

◆マーキュリー採用担当者
「エメラルド！当たりでございます。天然のエメラルドでございます」

Ｑ.ダイヤモンドは実際に入っている？
◆マーキュリー採用担当者
「入っています。こちらがブラックダイヤモンド。弊社の商材を実際に手に取ってもらい、興味を持ってもらうのが一番の理由」



◆マイナビ福岡支社　田中正典支社長
「（企業は）あの手この手で、工夫しながら取り組んでいる。ただ売り手市場とは言っても、企業もしっかり自社に合う若者を見つけようと動いているので、たくさんの企業を見た上で自分にマッチする企業を見つけてほしい」

「景気」や「世相」を色濃く反映する就活。

マイナビによると、これから面接などの試験が本格化し、6月ごろには多くの学生が内定を得ている見込みだということです。

初任給引き上げ…「人材争奪戦」が激化



就活情報サイトの調査では、2026年に入社する人の「初任給を引き上げる」と回答した企業が去年より増加し、半数以上に上りました。

同じ調査では初任給の支給額の平均額は前の年より9000円近く増えるという結果も出ています。

地元の大手企業でもこうした動きは鮮明で、福岡銀行や西日本シティ銀行ではこの春初任給を2万円から4万5000円引き上げるほか、JR九州は2026年度から技術系の6部門を対象に奨学金の返済を最大180万円支援することを発表するなど、企業側はあの手この手で人材確保に力を入れています。

売り手市場のため大手企業を選ぶ学生も増えているため、中小企業は人材確保に頭を悩ませていて、今年も企業間の激しい「人材争奪戦」が続きそうです。