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電撃辞職から10日…沈黙貫く元“県議会のドン”蔵内勇夫氏 福岡政界を上り詰めた男の“光と影” 麻生太郎・古賀誠両氏も動かした独自の権力基盤は

政治・行政

1時間前

福岡県議会の蔵内勇夫元議長が辞職して4日で10日となりましたが、いまだ辞職に関する記者会見は開かれていません。

今後の動向が注目される蔵内氏はいかにして“県議会のドン”と呼ばれるほどまで上り詰めたのか、これまでを振り返ります。

獣医師という異色の経歴

突然の幕切れは8月25日、東京でした。

◆福岡県議会 蔵内勇夫 元議長
「福岡県議会議長、福岡県議会議員を辞職いたします」
「後日、福岡でゆっくり報告を行いたいと思っております。以上です」

県議会議員を約40年務めた蔵内勇夫氏が議員辞職しました。

それから10日、蔵内氏は今一体、何を思うのでしょうか。

蔵内氏は、県議会議長に2度就任したほか自民党福岡県連会長や県議団会長を長く務め福岡政界だけでなく財界や県政などにも幅広く影響力のある人物とされてきました。

日本大学農獣医学部出身で獣医師という異色の経歴の持ち主。

2度目の挑戦となった1987年の県議選で現職を破って初当選し政界入りを果たしました。

◆蔵内勇夫氏(2001年の議長就任時)
「2年間、議会運営の世話をさせて頂いて議長の重責はよくわかった。やりがいのある仕事だと思う」

2001年には自身1度目となる議長に就任しました。

知事選での“内部闘争”へて…

政治家・蔵内勇夫として1つの転機となったのが2011年の県知事選に絡む内部闘争です。

蔵内氏は県連推薦の内定を得ていましたがそこに思わぬ対抗馬が現れます。

◆知事選に立候補した小川洋氏(前知事)(2011年)
「麻生太郎先生のご推薦により県連に推薦願いをしてまいりました」

福岡政界の大物、麻生太郎氏らが蔵内氏ではなく官僚出身の小川洋氏を推したため県連内部が分裂状態となり、これを回避するために蔵内氏が出馬を断念するという結末に至りました。

当時はその悔しさからか、吐き捨てるようなこんな一言も…。
Q.釈然としない部分もあるか
◆蔵内氏(2011年)
「政治はそういうもんだ」

蔵内氏は2015年から4年間県連会長を務めるなど県連内での地位を着実に固めていきます。

福岡政界の大物で総理経験者の麻生太郎氏は当時、蔵内氏をどう感じていたのか。

2015年の県連大会で見せたある動きが如実に物語っています。

麻生氏が隣に座る蔵内氏を「どけ」といわんばかりに軽くあしらい、目も合わせずに退席する様子が映っていました。

「福岡三国志」の一角へ

かつて福岡政界は麻生氏のほかに山崎拓氏、古賀誠氏の自民党国会議員3人がせめぎ合い「福岡三国志」とも言われていました。

その後、山崎氏と古賀氏が政界を去り、三国志の一角に入ってきたのが県議の蔵内氏でした。

3年前に発刊された蔵内氏の写真集には麻生氏の寄稿文も掲載されていて、次のような文言で存在感を評しています。

「実力者の政治家」

塗り替わっていく福岡政界の勢力図。

その象徴とも言えるのが2016年に行われた衆議院福岡6区補選でした。

麻生氏・古賀氏を引き合わせ

保守分裂となったこの選挙には蔵内氏の長男、謙氏が立候補。

選挙戦が始まると麻生氏が応援に駆け付けただけでなく、麻生氏とは犬猿の仲と言われていた古賀氏と顔を揃えて遊説し、周囲を驚かせました。

◆麻生太郎氏(2016年)
「古賀誠と街頭遊説やるっていうのは過去35年間で初めて。驚いて雨も降ってくるほど。古賀誠先生と麻生太郎そろって、一緒になって蔵内謙を支える」

長男の選挙とはいえ麻生氏、古賀氏の2人を引き合わせるほどの影響力。

蔵内氏が福岡政界の実力者として上り詰めたことは誰の目にも明らかでした。

◆蔵内氏(2022年)
「福岡がワンヘルスの先進地である」
蔵内氏のライフワークでもあるのがワンヘルス。

その理念は人と動物の健康と環境を一体的に捉えるというものです。

前回の県議選の際に、早朝に散歩する蔵内氏を取材した時には…。

◆蔵内氏(2023年)
「選挙しよったらさ、いつもいろんな課題あるやん。億劫になるよね。ストレス溜まるよね。朝起きてここで歩くと、ほんとにストレス解消になる。人間ちゅうのは体動かさないかん。これまさにワンヘルスですよ」

日本獣医師会の会長だった蔵内氏は2022年アジアの会長となり、そして今年4月には…。

巨大権力から一転…

◆服部知事
「蔵内勇夫会長、この度の世界獣医師会会長のご就任誠におめでとうございます」

栄達を極めた蔵内勇夫氏。

福岡政界の実力者でありながら世界獣医師会の頂点にも立つという、まさに巨大な権力を手中に収めたのです。

しかし…。

◆吉松源昭県議
「私も結局カツアゲされたようなもの」
7月、TNCのカメラの前で吉松源昭県議が告発した議長ポストを巡る金銭授受疑惑で、吉松氏は蔵内氏の名前も挙げました。

◆吉松源昭県議
「あくまでも想像ですが最高権力者、実力者は蔵内先生なんです。それ以外の人が受け取ることは考えられない。一部を受け取るのは分からないが…。一番の実力者のところにいくのではないかと思う」

その後、蔵内氏を長年支えてきた腹心とも言える幹部2人が要職から離れる中、当の本人は強気の姿勢を崩していませんでした。

Q.議員辞職は否定する?
◆福岡県議会 蔵内勇夫 元議長
「僕なんでしなきゃいけないんだろうか」
そして8月17日には、蔵内氏の辞職勧告決議案に関する緊急動議が臨時議会で可決され採決は中止に…。

議員生命を脅かすヤマ場は越えたかに見えましたが、県民の反応は厳しいものでした。

◆臨時議会を傍聴した人
「ここまで潰されるとは思っていなかった。」

◆臨時議会を傍聴した人
「今の状況で税金を納めたくない」

わずか40秒の辞職表明


そして、8月25日についに…。

◆蔵内勇夫氏
「福岡県議会議長、そして福岡県議会議員も辞職をいたします」

福岡ではなく出張先の東京で議員辞職を表明したのです。

取材に応じたのはわずか40秒、辞職の理由については「福岡でゆっくり報告する」と述べました。

あれから10日。

蔵内氏は表舞台に姿を見せることはなく、いまだ会見の予定もありません。

4日、福岡県政記者クラブに加盟する15社は連名で蔵内氏に近日中の記者会見を要請しました。

渦中の蔵内氏は2カ月前TNCの取材に対しこう話していました。

◆蔵内勇夫氏
「議員として責任を持って、自分がやったことは背負っていかなきゃいかん」

県議会内部からも会見求める声

蔵内氏は長年にわたり独自の権力基盤を築き、福岡県政で圧倒的な影響力を示してきました。

そして金銭授受疑惑の当事者の1人でもあり、今、検証が進められているワンヘルス事業の最大の推進役でもありました。

大きく揺らぐ福岡県政の象徴ともいえる人物が議員辞職という重要な局面を迎え、県議会の内部からも会見を求める声が上がっています。

立憲民主系の「県政PLUS県議団」の会長、坪田県議は「1日でも早く説明した方が県民として納得できるのではないか」と述べたほか、県議会の公明党のトップ、新開県議も議員辞職の理由を「皆さんの前で説明してもらいたい」と話しています。

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