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道の駅や直売所で人気「漬け物」ピンチ 猶予3年終え…6月から改正法実施 福岡県内の認可わずか175件

2024/02/05 19:00

道の駅や直売所などに行くと、農家の方が作った「手作りの漬け物」を販売されている光景をよく見ると思いますが、その多くが姿を消す懸念が、いま高まっています。

そのワケを取材しました。
4日の朝、福岡県糸島市に車がひっきりなしに入っていく場所がありました。

◆記者リポート
「4日午前10時半の『伊都菜彩』です。車が次々と入ってきて人気の高さがうかがえます」
午前10時半時点で駐車場はほぼ満車。
ここは糸島市にある農畜産物の直売所「伊都菜彩」。

建物の中に入ると・・・
◆記者リポート
「店内もかなり人が多く、買い物かごに多くの商品を入れている人の姿が目立ちます」

人、人、人ー

来店客のお目当ては、所狭しと並べられている採れたての野菜や新鮮な海の幸など、地元糸島産を中心とした食材です。
中には、2つのかごいっぱいに食材を詰め込んでいる人も。

福岡県外の人も多く訪れる大人気の「伊都菜彩」。

来場者は年間120万人以上。

JAが運営する直売所として日本一の売り上げを誇る施設です。
そんな名物直売所の人気コーナーの1つが、漬け物販売コーナー。

高菜や白菜、大根など、地元で採れた新鮮な野菜を使って、それぞれの農家が昔ながらの味付けで作る自家製のお漬け物です。

連日多くの人が買い求めていて、日中でも品切れになった漬け物を納品する生産者が後を絶ちません。

◆漬け物を買った人
「農家によって味が違うので、食べ比べしながら、一番いいやつを探すのが楽しみ」

Q.お漬け物好き?
◆子供
「うん」

そんな伊都菜彩の「名物」ともいえる「手作りの漬物」がいま、大きなピンチを迎えているといいます。

それが、6月からの改正食品衛生法の完全実施。

従来「手作りの漬物」は、福岡県に届け出さえしていれば製造・販売が認められていました。

しかし、2012年8月に北海道札幌市などで8人が死亡する集団食中毒事件が発生。

O157によるもので、食品会社が製造した「白菜の浅漬け」が原因でした。

この事件などをきっかけに、2021年に改正食品衛生法が施行され、漬け物の製造・販売は「許可制」となりました。
許可をもらうためには、「手を使わずに肘でも動かせるレバー式の蛇口」の設置やー
「野菜などを洗うシンクと手を洗う設備を分けること」などが条件とされていて、今年5月末で施行後3年の猶予期間が終わるため、生産者がいま、対応に迫られているのです。

◆漬け物生産者
「そんな規制はない方がいいと思うけど、許可は取ると思います。4トンタンクがいくつかあって、それに漬け込んで出荷しています」

一方、厳格な衛生基準を満たす加工施設の整備は難しいとして、漬け物作りをあきらめる生産者もー

◆漬け物作りをやめる予定の生産者
「もう作らんめえと。伊都菜彩が始まってからずっと出してきたばってん、年寄りだから、保健所に手続きしないといけない。もう出さんめえかと」

福岡県によると、県管轄の地区では、去年3月末時点で漬け物製造の届け出は3693件に上っていますが、法改正に準じた許可を得ているのはわずか175件となっています。

◆JA糸島 営農部直販課 藤川秀則 課長
「当店の人気コーナーの一つでもありますし、高齢の方、辞められる方がいると思いますが、非常に困っています。うちだけじゃなくて、どこの直売所でも困っていると思う。一番困っているのは出荷されている方。購入されている方もそうですけど。悩ましいです」

それぞれの地域で親しまれている「手作りの漬け物」。

「ふるさとの味」が存続の危機にさらされている現状に、消費者からも戸惑いの声がー

◆漬け物購入者
「なかなか漬け物は漬けないから困る」

◆漬け物購入者
「お年寄りの味を失うのは残念」

◆漬け物購入者
「作った人の名前を覚えて帰ったりしていたので、これからどうしようかと」

手作り漬け物の製造・販売が「許可制」となる改正食品衛生法の完全実施は今年6月からということで、各地の生産者が対応に迫られることになります。

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