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【一問一答】「天神への愛や思いを形に」ワンビル開業でどう変わる 西鉄・林田社長が語る展望【福岡発】

暮らし

5時間前

福岡市・天神に4月24日に「ワン・フクオカ・ビルディング」がオープンした。商業施設のほかオフィスやホテルが入り、市の再開発促進策「天神ビッグバン」の目玉とされる複合ビルの役割や将来像をどのように描いているのか。開発した西日本鉄道(福岡市)の林田浩一社長がメディアの取材に応じ、今後の展望を語った。

「未来の天神をリード」するビル
Q.開業にあたっての心境は。

A.もう随分前からワクワクしているが、いい緊張感というか、いよいよ始まるんだなという思い。天神の街を諸先輩方とか地域の方々とか、本当に長くにわたって作ってこられたこのにぎわいを次の時代につなげていく責任を今ひしひしと感じている。これからが本当に街づくりの真価が問われる時だと思っている。
Q.ワンビルを天神でどんな存在にしたいか。

A.「創造交差点」というコンセプトでワンビルは作られた。ハードは出来上がったが、これからたくさんの人が集まって新たなビジネスだったり文化だったり、新たな学術的なものも何か生まれるかもしれない。そういった拠点として未来の天神をリードし、ひいてはアジアに福岡市のプレゼンスを示していけるような役割を果たせたら最高だなと考えている。


くつろげるスペースをふんだんに
Q.(ワンビルの前身の)福岡ビル、天神コア、天神ビブレに親しんだ市民にどんな形でワンビルを楽しんでもらいたいか。

A.ワンビルにはいろんな仕掛けがある。天神コアを思い起こすようなデザインを施していて、そういうものを探しながら、まずは一度訪れていただきたい。見ていただき滞在してもらえれば、私たちが昔から培ってきた天神に対する愛や思いを形にしたということを感じ取っていただけるのではないかと思う。そして、至るところに、休憩できるスペースを取っている。6階のスカイロビーは誰でも入れる広い空間。これまで天神になかったくつろげる場所をふんだんに配置しているので、そこで時間を過ごしてもらうと新たな天神の価値も感じてもらえるのではないかと。昔を懐かしむ方にも来てもらったら、新しいファンになっていただけるのではと期待している。

Q.県外から訪れる人たちにはどのように楽しんでもらいたいか。

A. 外国人も含めて新しいことに好奇心を持つ人たちに来ていただくおもしろい施設になっていると自負している。「刺激を受けたい」「人との交流を楽しみたい」という人に人種や地域を超えてたくさん集まってきていただきたい。


「食」を楽しめる仕掛けにした意図
Q.5階の「天神福食堂」を含め、1日中「食」を楽しめるような仕掛けになっているが、その意図は。

A.新型コロナ禍を経てリアルに人が集うということの価値が十分にわかったと思う。リアルに人が交流できる場として飲食ゾーンがにぎわい、利用してほしいという思いで作った。リアルに人が集まることを意識して随所に仕掛けをしているので楽しんでほしい。

Q.開業まで10年以上かかったが、これまでの道のりを振り返ると。

A.確かに10年ぐらい、構想段階から明治通りの街づくり協議会から始まって、土地計画の策定などから始まって、高島市長の「天神ビッグバン」や高さ規制の緩和とかさまざまな地権者だったり事業者だったり、あと行政だったり、そういった方々の協力がなければ当然こういったビルはできていないし、今CMのキャッチコピーで使っているが「1人ではたどり着けなかった夢を見に行く」と、まさにそれが 10 年間の歩みだった。さまざまな方の力がなければできなかったと強く思っている。今度は私たちがしっかりとこの施設を運営して魅力あるものに仕上げ、新たな情報文化を発信し続ける。この 10 年間一緒に汗をかいてくださった方々や地域の方々に恩返ししていきたい。

Q.「昔の天神が良かった」という街の声もあるが、魅力をどう伝えるか。

A.昔の天神が良かったという声は、その時期に集まってその時の思い出だったり雰囲気だったりが良かったと懐かしんでもらっているんだと思う。新しい施設になっても、その当時に感じた思い出だったり、居心地の良さだったり、コミュニケーションの楽しさだったり、そういったものを提供すれば理解・納得してもらえる天神になると思う。


オフィスフロア「遠くない未来に満室が見える」
Q.オフィスフロアなどの成約率などは。

A.契約ベースでは60%でスタートする。もう契約寸前まで含めると65%まで伸びた。それ以降も建物ができると「実際に見せてくれ」とたくさんの企業が来るようになった。九州は今、台湾の企業からとても注目されている。台湾の企業やスタートアップとして始めていこうという方もいて、興味を持って内覧に来ている。 (ワンビルに入居する)CIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)のほうにもそういったところが入ってこようという動きも始まっているし、オフィスフロアも国内外のさまざまな業種の方に実際に見てもらえれば「入りたい」という思いが高まるのではないかと期待している。そんなに遠くない未来に満室が見えると思っている。

Q.ハイスペックなオフィスに国内外の企業を呼び込み、地域経済へどのように貢献したいか。

A.福岡市を国際的に認知を高めて、ステータスを上げていきたい思いは知事や市長も含めて強い。経済界としても「支店経済都市」と呼ばれた福岡市をスタートアップだけでなくいろいろな本店も所在する街となって、世界からも「福岡といえば一番日本では有名な街」と言われるぐらいに、なんとか持ち上げていきたい思いがずっとあった。その思いを1つの形として結実したのがハイスペックなオフィスだったり、アートやグリーンだといった「ウェルビーイングな空間」を整えたオフィスやホテル、商業施設だったりする。今後も「天神ビッグバン」で再開発が続き、周辺のエリアでもさまざまな建て替えの話も起こるだろうし、リノベーションの話も出てくるだろうし、いろいろな人が集まっていろいろな商売を始めるだろう。真ん中は立派なビルで賃料も上がってしまうが、結果としてそこがリードして天神全体の経済をさらに高める機能が果たしていけるのではないかと。街全体の経済力を上げて、世界にもっとアピールできる福岡が実現できるのではないかと期待している。

街全体でさまざまな世代に応える
Q.西鉄は天神で「ソラリアプラザ」や「ソラリアステージ」も運営しているが、すみ分けはどうするか。

A.西鉄の商業施設としては「ソラリアプラザ」「ソラリアステージ」だったりがあるが、それ以外にもたくさん商業施設がある。天神の魅力はビル以外に大名地区や今泉地区におもしろい店がたくさんあって、多様性が1つの大きな魅力だと思う。確かに(前身の)「天神コア」のようにティーンエイジャー向けの店ではなくなっているのかもしれないが、飲食とか食堂とか、そして少し大人の世界をのぞいてみたいとかのニーズには十分応えられる施設になっていると思う。そしてここ以外の施設にも少しティーンエイジャー向けお店を入れたりとかも考えていきたい。街全体でさまざまな世代、さまざまな考えの方々に応えられる機能を構成していくことで盛り上げていくのが基本だと考えている。その中でも元気な旗印としてワンビルが一生懸命頑張ることで、さまざまな事業者が「自分たちも何かやってやろう」という思いが生まれてくるような相乗効果を期待している。
Q.再開発の期間中、天神の魅力が失われたという声もある。地域とどう連携し効果を生みだしていくか。

A.確かに工事期間中は集客力が落ちた分もあったと思う。これからどんどん新たに商業施設に限らず、オフィスもホテルも増えて、多様な機能を備えて集客力は増していくと思う。従来から「We Love 天神協議会」という街づくり団体で、周辺の事業者と連携したコラボ企画などを続けてきた実績がある、今回、新しい施設ができて、連携の取組みをさらにパワーアップをして、積極的に声かけをしながらやっていきたい。

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