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【特別ルポ】外国人が支える日本の医療現場は今(後編) 准看護師は「最長4年」…在留期間の壁に苦悩

暮らし

1時間前

福岡の医療現場で働く外国人スタッフ。人手不足が深刻化する地域医療の現場で、いま何が起きているのか。その最前線を追った(全2回のうちの後編)。

■ 母国での看護師経験がないミャンマー人を採用
外国人スタッフを受け入れている大牟田市の杉循環器内科病院。

この病院では現在、6人のミャンマー人が看護スタッフとして働いている。

2026年の准看護師試験に合格したミャンマー人のイー・ライライ・ユンさん(25)もその1人だ。
▼イーさん
「どうですか?変わりないですか?苦しさとかなかったですか?リハビリに行かれましたか?」

▼患者(95)
「はい、行ってきました」
95歳の患者との会話もスムーズなイーさんは母国の大学を卒業後、日本の看護師資格を取得したいと福岡県の養成事業を活用して2024年に23歳のときに大牟田市に移り住んだ。
杉循環器内科病院の秋山良子看護部長は「なかなか循環器が専門の病院は壁があって、日本人の看護師は募集してもなかなか来ないんですよ、忙しいのが分かっているので。ミャンマーの人たちは一生懸命、それを頑張って働いてくれている」と話す。

外国人を受け入れる際、病院は母国での看護師経験がないにも関わらずミャンマー人を積極的に採用した。
杉循環器内科病院の森田宏樹副院長に尋ねると「イスラム教徒のお祈りの時間とかを、当院の場合は取れないんじゃないかと。ミャンマーの場合は仏教徒ということで非常になじむのではないか」とその理由を答えた。

24時間救急を受け入れているこの病院では、一刻を争う重病患者がいつ搬送されてくるか分からないため、時間的な制約が少ないミャンマー人の採用を決めた。

一方でミャンマーは国内情勢が不安定で、受け入れには多くの苦労があったという。

「去年の春から夏くらいに入国の予定だったが、実際は今年の2月に入国ということで、準備に2か月間しかなかった。資金管理に関して病院の方から対応する分は対応して、“暮らしが立つ”ようにするのが一番、大変だった」(森田副院長)。

■「免許を取っても外国人は4年なので…」
イーさんが住んでいるのは、病院が用意した外国人スタッフ専用の寮だ。

この日の食事に作ったのはニンニクとピーマンとエビを炒めたもの。

大牟田へ来て2年、「周囲のサポートのおかげでなんとかここまで暮らして来られた」と話すイーさんは念願の准看護師免許も取得した。
「ミャンマーは給料が安いので、よその国に行って働いた方がもっとお金を稼げる。日本で仕事をする人たちはけっこうお金を使って日本に来ているんですが、私たちは、お金は福岡県の養成事業の活用で必要なかったので、それが一番よかったです」(イーさん)。

イーサンは働いた給与の一部を母国の両親に仕送りをしているといい、両親のためにもできるだけ長く日本で働きたいと考えている。

しかし、そこに立ちはだかるのが外国人制度を巡る大きな壁だ。
「准看護師は免許を取っても外国人は在留期間が4年なので、長くビザが欲しいんですけど…」(イーさん)。
現在の日本の制度では外国人の在留期間は「特定技能1号」の介護・外食・建設業などが最長5年であるのに対し、医療の准看護師は最長4年と1年短く定められている。
4年を超えて在留する場合は「看護師試験に合格する」「介護福祉士などの他の在留資格を取得する」などの条件を満たす必要があり、やむなく帰国となるケースも多くあるという。

イーさんは「試験の前にこのことを知って『どうしよう4年だけ?』と思って。もったいないじゃないですか、自分が学んできた准看護師の知識だったり、それがもったいない」と当時の逡巡を振り返る。
外国人が看護師免許を取得する難しさについて、大牟田医師会看護専門学校の富安信夫校長は「看護師の国家資格は合格率こそ90%近くありますけども、実際、3年間、日本人の普通の高卒の方々が勉強して何とか9割ということですので、それに外国人、やっぱり言葉が違う人たちが挑みますので、やはりかなりハードルが高いと思います」と実情を話す。
福岡県医師会の瀬戸裕司専務理事は「4年では全く余裕がないと思います。国は一生懸命考えていただいてこの4年という縛りは何だと。准看護師資格で少なくとも5年という他のものと同等にすべきだと思っております」と4年という期間に疑問を呈している。

■在留期限内の看護師試験合格を目指す
夜、看護学校には仕事を終えたジハンさんとイーさんの姿があった。

2人とも3年間、看護科に通い在留期限内の看護師試験合格を目指している。

「午前7時から午後4時まで仕事。眠い…(笑)。でも集中しないと全部、分からないので」と話すイーさん。

ジハンさんに授業内容を尋ねると「微生物学ですよ。細菌とか感染症」と答えた。
授業を終えたジハンさんが、住まいである病院の借り上げ住宅に帰ってきたのは午後9時すぎ。

夕食やお祈りの後は看護師試験の勉強だ。深夜にまで及ぶこともあるという。

「自分のためと家族のために頑張る。お父さんが定年退職したら、私が両親を扶養したい。妹の大学の費用とか生活費も私が払っています」(ジハンさん)。

4年以内に合格できるのか不安もあるがキャリアアップのチャンスと期待を膨らませている。

「福岡県の制度(養成事業)ができてよかったなと思います。日本は医療レベルがすごく高いですよね。それが学びたいと思って。目標は国家試験合格。頑張ります」

◇   ◇   ◇

■外国人との“共生”とは…ドキュメンタリー番組の放送決定
いま福岡には過去最多となる12万人超の外国人が暮らしています。社会の急激な変化で時には排他的な動きが広がる中で“共生”の行方はどうなるのか、福岡の現状から考えるドキュメンタリー番組が制作・放送されます。

ナレーションを担当したのは、トム・クルーズさんの吹き替えなどで知られる声優の森川智之さんです。

FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品「“共生”の現在地~福岡と隣人12万人の岐路~」は2026年5月27日(水)24時45分(28日(木)午前0時45分)からTNCエリア(福岡・山口)で放送されます。
※全国のフジテレビ系列局でも順次放送されます。

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