参院選2025
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【詳しく】「まるで下請けのように自治体を…」参院選の与党公約「2万円現金給付」北九州市の武内市長「出し方を真剣に国で考えてほしい」福岡

政治・行政

参院選

5時間前

今回の参院選で与党が公約に掲げる国民1人あたり2万円の現金給付をめぐり、福岡県北九州市の武内和久市長は4日の会見で、給付作業にあたる自治体の負担の重さについて述べ、「出し方を真剣に国で考えてほしい」と苦言を呈しました。

現金給付の自治体の作業負担については福岡市の高島宗一郎市長が「自治体丸投げはいい加減やめていただきたい」と発言するなど自治体の首長から懸念の声が上がっています。

会見での発言内容は以下の通りです。

Q.参院選で与党が公約に掲げている国民一律2万円の給付についてお伺いします。他の自治体の首長からは業務負担を懸念する声が上がっていますが、市長は今回の公約をどう評価されていますか。また、もし実現した場合、自治体にとってどれほどの負担が生じるとお考えでしょうか。

A.本当に国民のことを思うのであればスピードが大事です。国民にとって早く支給してほしいという思いは非常に強く、スピード感はものすごく重要です。しかし、スピードを重視するのであれば「出す出さない」ではなく「出し方」を真剣に国で考えるべきです。一刻も早く届けたいのであれば、国が一元的にやるとかマイナンバーと紐づけてやるとかがが大事だと思います。

実務の現場の実態を聞きますと本当に切実です。全国には約1500の市町があり、それぞれがバラバラに給付事務を、それぞれ委託業者を探しシステムを手当てし体制を組むという状況です。

北九州市は比較的人員もいるしノウハウがあります。近隣の自治体から「やり方を教えてほしい」とノウハウの交換なんかも対応しないといけません。小さい自治体では一層不慣れな中で業務を回しており、それをサポートする必要も出てきます。早くやりたいのにバラバラにやらなければならないというのは、本当に不合理だと思います。

現場では徹夜状態で対応していると聞いています。世間からは「絶対に間違えてはいけない」というプレッシャーがかかり、もし間違えれば「支給誤り」としてニュースで報じられます。そのプレッシャーが職員に大きくかかっている。そして「あの市はもう支給されたのに」と責め立てられる。だから一刻も早くやらなければならない。スピード感も必要で、争っているわけではないが「あの市は遅い」と言われたらきついので一生懸命やっている。しかし絶対に間違えてはいけない。とはいっても、例えば支給の基準日以降に亡くなられた方もいらっしゃいますし、国からは「基準日に住民基本台帳になくても、その後に生まれた子は対象に入れてくれ」といった指示もあります。そうなると、どの時点のどの台帳を基準にすればいいのか。もし過不足があれば「支給誤り」「支給漏れ」と言われてしまう。そうしたプレッシャーを自治体の現場はずっと受け続けているのです。

北九州市では常任体制で10人が令和3年度ごろからずっとやっている。終わるかと思えばまた次の給付がやってくる。この状況をずっと繰り返していてプレッシャーを受けている。相談窓口は外部に委託していますが、そのバックアップ業務も当然、市役所が行わなければなりません。

正確さとスピードというプレッシャー、委託業者へのバックアップ、他の市町との関わり合いといった業務を、個別の市町が全て担っているのです。

給付金が必要だから実施すると決めること自体は、国として決めてもらっていいですが、それを決めた後で「あとはやっておいて。間違えないでよ、急いでよ」というのは、あんまりじゃないかと。それは国と自治体の関係として、どうなのかと思います。こういったことも参院選でもっと議論すべきです。「国と自治体のBtoBの話だろう」と言われるかもしれないが、市民の皆さんへの正確でスピーディーな給付に直結する話ですからしっかり議論していただきたいし、そこに配慮がないのであれば、政権を担う資格があるとは私は言えないと思います。

国が決定し、まるで支店や営業所や下請け企業のように自治体を使うという古いメンタルモデルをいつまでも日本は続けるのか。今回ほかの国にも行って、都市が競争していました。かなり権限ももらってお金も得て、都市がそれぞれの創意工夫で権限を持ってやっていく、こういう活力があるのを体感しました。

参院選の論戦でもやっていただきたいし、じっとしていられないので全国の首長の仲間内でもそういう議論が沸騰しているので、首長たちも束になって行動を起こすことも考えていくことになるかと思います。

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